各国で少しずつ違ってくる規制
また、CO2排出量の低減のためにも、e-POWER化は必須だ。「2021年には企業平均で95g/kmを下回るべし」という厳しいCAFE規制に対応するには、e-POWERのようなパワートレインでないと通用しない。
新型ノートe-POWERのCO2排出量は79~84g/km。キックスe-POWERは107g/km、セレナe-POWERは129g/km、エクストレイルハイブリッドは155~168g/km(いずれもWLTCモード燃費から換算した数値)。
新型ノート以外は、旧世代のe-POWERということもあるが、2021年CAFE規制(95g/km)には、遠く及ばないレベルだ。この数値をどうにか下げないとならないのだ。
(参考に、他車のCO2排出量は、トヨタヤリスは、ハイブリッド64~80g/km、ガソリン107~123g/km。ホンダフィットは、ハイブリッド79~100.1g/km、ガソリン113.8~133.4 g/km。さらに、RAV4 PHVは108~113g/km、現行アウトランダーPHEVは142g/km。)
ただ、この「企業平均で95g/kmを下回るべし」というのは、欧州市場(厳しい罰則あり)と日本市場(達成を求める)のことであり、中国と北米は、またちょっと事情がちがってくる(詳細は長くなるので割愛)。中国と北米では用意できたガソリンモデルも、日本や欧州ではCAFE規制で足を引っ張ってしまうため、売ることができないのだ。
冒頭ですこし触れたが、実は欧州では、新型キャッシュカイについてのリリースの中で、欧州向けの新型エクストレイルにe-POWERが搭載されることがひっそりと発表されている。2020年2月に欧州発表となった新型キャシュカイに搭載される「e-POWERターボ(1.5L VCターボを発電エンジンとした新e-POWER)」だ。
日本市場向けのエクストレイルにも、この「e-POWERターボ」が搭載されることは間違いない。このe-POWERターボのCO2排出量は現時点分かっていないが、おそらく95g/kmを切るレベルに入れてくるはずだ。
厳しい罰則を回避するため、そして電動車メーカーとしてのプレゼンスを示すため、そして市場のニーズに合わせてよりたくさん販売するため、市場ごとに判断している、ということなのであろう。
新型エクストレイルは「e-POWERターボ」こそが本丸!!
中国向けの新型エクストレイルの「VCターボ」は、最大トルク300Nm、最大出力150kW(204ps)を発揮するスペックであり、1.5リッターという排気量を考慮すると、相当にパワフルだ。
一方、北米の新型ローグは、2.5Lの直4ガソリンエンジンを搭載する(181ps、245Nm)。ちなみにこのエンジン、三菱の北米向けの新型アウトランダーにも搭載されている。
一方、新型エクストレイルに搭載される見込みの「e-POWERターボ」のスペックは、新型キャッシュカイでのリリースによると、最高出力140kW(187ps)、最大トルクは330Nm。新型ノートに搭載されている1.2リッターe-POWERは、最大出力85kW(114ps)、最大トルク280Nmであるから、およそ1.2倍はパワフルになった、ということになる。
エクストレイルは、オフロードもこなすオールラウンダーSUVだ。となると、最もトルクフルなe-POWERターボがもっとも適しており、e-POWERターボこそが、新型エクストレイルがもっとも本領発揮できるパワートレインなのだ。
日本仕向けの新型エクストレイル発表については、今秋開催が予定されていた、東京モーターショー2021での発表を期待していたが、残念ながら中止となってしまった。
名称を変えてオンラインで発表会が行われる可能性はあるだろうが、いずれにせよ、東京モーターショー開催予定であった10月後半には、その詳細を目にすることができるはずだ。新型エクストレイルはe-POWERターボとPHEV、そして同時に新型アウトランダーPHEVも発表となる、と思われる。
日本仕向けの新型エクストレイル発表まで、もう少し。筆者はいまから「e-POWERターボ」に試乗するのが楽しみで仕方ない。
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