生産効率やクラッシャブルゾーン確保のため、’90年代から段階的に直列6気筒エンジンをV型6気筒に切り替えてきたメルセデスベンツが、2017年、Sクラスのマイナーチェンジでの直6エンジン搭載“復活”を発表、2018年3月1日より受注を開始している。
復活といっても、電動スーパーチャージャーなど旧世代の直6にはなかった新システムを満載した、まったく新しいエンジンになるわけだが、「直6」は「直6」。実に20年ぶりとなる今回の復活に心踊るクルマ好きも多いはず。
そこで本企画では「復活祭り」と題し、直6エンジンについてさまざまな角度から国沢光宏氏に話を聞いてみた。その響き、やっぱりイーネッ!
※本記事は2017年4月時点のものです。
文:ベストカー編集部、国沢光宏
写真:shutterstock.com、ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年4月26日号
■国産直6エンジン 歴史的名機ベスト5
こらもう0.1秒も考えることなくスカイラインGT-Rに搭載されていたRB26DETTがNo.1でしょう。世界ランクでも間違いなくベスト3に入る。エンジンフィールや耐久性、ポテンシャルの高さ、どれを取ってもすばらしいとしか言えない。なかでもR34に搭載されていた最終スペックは、余裕で300psを超えており、ホンの少しのモディファイで400psを超える出力を出せる。
トヨタは乗用車用として2000GTにも搭載されていた『M型』と、その後継エンジンとして開発された『JZ型』。さらに小型軽量設計の『1G型』という3つの直6を作っていた。日産のL型以上のポテンシャルを持っていたのがスープラなどに搭載されたJZ型だろう。これまたチューニングカーのベースエンジンとして人気になり、1000psを超えるケースすらあった。JZがNo.2!
No.3は日産のL型としておく。残念ながらノーマルのL型は、トヨタのM型と同じくピストンやクランクなどの重量公差大きく、クランクシャフトの精度だって悪かった。高回転域で微振動が出るため、完全バランスのエンジンというイメージなどなし。中途半端な技術や工作精度で直6を作るとダメだというお手本のような存在。気持ちよく回るのはせいぜい4000回転くらいまででしたね。
ただ全部バラしてクランクのバランスを取り、ピストン+コンロッドの重量も合わせると見違えるようなエンジンになる。チューニングカーでは3Lまで普通にボアアップされ、ターボを装着したなら、600psを超える出力を出せたほど。よくハコスカGT-RのS20を名機という人もいるけれど、最後はワークスのフルチューンエンジンですらマツダの12A(レシプロだと1.8L相当)にまったく勝てなかったのだから、素性としちゃイマイチ?
No.4はRB26DETTのベースになったRB型。標準スペックでも気持ちよく回ってくれたし、RD28というディーゼルエンジンのベースにもなった。スカイラインに搭載されていた直6ディーゼル、すばらしく滑らかでしたね。そしてNo.5にトヨタの1Gを。あまり派手さのないエンジンながら、普通に使っているかぎり直6のバランスのよさ感じます。
コメント
コメントの使い方