客観的な認定制度でタイヤの燃費性能がハッキリわかるように
具体的には低燃費性能とウェットグリップを表示することで、タイヤの性能を表示するタイヤラベリング制度が始まりました。ちなみに、現在では消費者庁が定める「景品表示法に基づく公正競争規則」によって表示内容の正確さは厳しく規制されています。
国産タイヤメーカーと主要輸入タイヤメーカーのほとんどがタイヤラベリング制度に参加し、テストを受けてグレーディング表示を行っています。新品タイヤのトレッドに貼ってある低燃費タイヤのラベルです。
この表示は厳密なテストによって、同銘柄のタイヤであってもすべてのサイズをテストし等級分け(グレーディング)されることになっています。
等級は、転がり抵抗はAAA~Cに、ウェットグリップはa~dに分類されています。このうち転がり抵抗がA以上で、転がり抵抗がa~dの範囲にあるものを「低燃費タイヤ」と定義して表記することが許されています。
では実際に、転がり抵抗が少なくなるとどのくらいクルマの燃費はよくなるのでしょう。
タイヤを替えるだけで燃費が4%改善する
タイヤグレーディングを例にとると、転がり抵抗「C」のタイヤを基準にすると、「B」で1%、「A」で2%、「AA」で3%、「AAA」で4%燃費が改善するそうです。もちろんこれは参考値ですが、大雑把にタイヤグレーディングで1グレード上がると、燃費は1%程度向上するということになります。
タイヤの自動車燃費への寄与率(どのくらい影響を与えているかの割合)は、一般道で7~10%。これを基準に算出した数字です。「C」グレードの転がり抵抗のタイヤから最高ランクの「AAA」グレードのタイヤに履き替えた場合、燃費は4%良くなり、仮にリッター20キロのクルマだとすると20.8km/Lとなるわけです。
このくらいしか燃費が良くならないのならあえてエコタイヤを選ばなくてもいいじゃないか、と思われる人も少なくないと思います。
ただ、このデータは一般道での燃費向上です。これが高速道路で、限りなく一定速走行が多い場面になると、クルマの燃費に対するタイヤの寄与率は20~25%まで上がります。25%の寄与率だとすると、20.0km/Lのクルマの燃費は22.0km/Lになります。
それに加えて興味深いのが、燃費向上にまつわる様々な相乗効果です。現在のクルマはエンジンやドライブトレーン系のフリクションロスが少なくなっているので、アクセルオフによる燃料カット機能や、走行抵抗が少なくなったことによる多段ギア化の効果などによって、試算以上の低燃費を記録することも少なくありません。
実際、自車で「B」クラスの転がり抵抗のタイヤを「AA」クラスに履き替えてみたところ、郊外路や高速道路では1~2km/Lくらいの省燃費効果を経験しました。
筆者だけでなく省燃費タイヤを履いて予想以上に燃費が良くなったことを実感した人は少なくないのではないでしょうか。
とくに、最近の低燃費タイヤは、ゴムコンパウンドに分子レベルで手を加えたり、燃費に効果がある補強材である「シリカ」の(ゴムの中の)分散性をよくすることで、コンスタントに転がり抵抗を少なくすることができるようになりました。
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