■相次ぐ「後継車たち」の登場によりその役目を終えたプリウスα
お世辞にも「カッコいい車」「おしゃれな車」ではなかったかもしれません。しかし便利で経済的に使える庶民の足として活躍し、一時はかなりの数が売れていたプリウスαが、1代限りであっけなく終了してしまった理由。
それは、「キャラクターが被る車が後から多数登場したことで、魅力を失った。あるいは、その使命を終えた」ということにほかなりません。
トヨタ プリウスαが登場した2011年は、「車内が広いハイブリッド車」といえば同じトヨタのアルファード/ヴェルファイアとエスティマぐらいしか存在せず、それらはけっこう高額な車でした。
そのため、「広くて(まあまあ)安いハイブリッド車」であるプリウスαの存在には大きな価値があったのです。
しかし、その後はトヨタ シエンタやノア/ヴォクシー、カローラ フィールダーなどの「広く使える車」に続々とハイブリッドシステムが搭載されるようになりました。
そのため、「プリウスαじゃなければいけない理由」が失われてしまったのです。
話としては、駅前のスーパーマーケットが「町で唯一のスーパー」だった時代は必然的に繁盛したものの、その後、「さらに便利な○○スーパー」や「ちょっとおしゃれな△△スーパー」等々が町にたくさんできたことで、昔ながらの駅前のスーパーが徐々に徐々にさびれていった――みたいなことです。
これと同じことは本家である5ドアハッチバックのプリウスにも言えることで、本家も同様に、ユーザーから見た場合の選択肢が増えたこと=どうしてもプリウスじゃなければいけない理由がなくなったことで、存在意義がやや曖昧になっています。
本稿はそこを深堀りするためのものではありませんので、本家プリウスが今後進むべき方向性については触れません。
しかしながらプリウスαはある時期、「より多くの荷物や人員を伴って、どこか遠くまで経済的に移動したい」という庶民の根源的な欲求を満たすため、しっかりと根源的な働きをしてくれた車でした。
筆者はトヨタ プリウスαのことを特に好きではありませんし、正直「冴えないデザインだなぁ……」なんて思うのですが、しかし、心の底から「αさん、お疲れさまでした!」とは言いたいと思います。
■トヨタ プリウスα 主要諸元
・全長×全幅×全高:4615mm×1775mm×1575mm
・ホイールベース:2780mm
・車重:1480kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1797cc
・最高出力:99ps/5200rpm
・最大トルク:14.5kgm/4000rpm
・モーター最高出力:82ps
・モーター最大トルク:21.1kgm
・燃費:26.2km/L(JC08モード)
・価格:300万円(2013年式 G)
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