■楽しみ方は十人十色
続々と集まりだしたクルマの中にホンダの軽トラを発見。しかもスクリーンに後部を向けて駐車している。こ、これはまさか!
「はい、ここ(荷台)に座ったり寝転んだりしながら見ますよ」とは若いカップルだ。
「このためにレンタカー借りてきましたから!音声ですか?このラジカセで聞くから大丈夫です」
まさかの軽トラ桟敷スタイル。これには米国人でもびっくりだろう。けど、かっこいい! 気持ちいい季節だし、うらやましいぞ。
赤から濃い紫色に染まっていく美しい空を見ながら上映開始時間をのんびり待つ。ユルい。けどそれがなんともいい時間だ。
残念ながら今回はコロナのこともあり、ポップコーンなどの出店はなし。だが持ち込み飲食は自由。マイカーで他人を気にせずボリボリ食べ放題なのだ!
夕闇に包まれたころ、筆者も指定のFM周波数に合わせて車内から500インチ(11×7m)の巨大スクリーンを見てみた。確かにクルマは優れたオーディオルームにもなり得るので不思議な未体験臨場空感だ。音量なども自分で好きに調整できるのもいい。
そして想像していたよりもスクリーンは綺麗でクリアに写っている。これならなんの不満もない。サイコーじゃないか! 前述の柿沼さんは言う。
「屋外巨大スクリーンなので投影機の性能がモノをいいます。新品だと一千万円ほどするBARCOというベルギーのメーカー品を使ってます。実はヤフオクで超格安で買えたんですけどね。
今日は好天ですし、風も無くて最高ですが、この入場者数では赤字確定ですね。去年はコロナ特需もあってけっこう調子良かったんですけどねえ…。
大手シネコンチェーンなんかもDITを始めたりしてるんですが、うちはマイナーでもこだわりの良作品を上映していきます。DIT界の早稲田松竹(有名映画館)みたいなもんですよ。ドライブインシアターをつくる会のホームページもありますから是非見てください」
■良作を良心的価格で上映
確かにこの夜は「著作権切れ」とされる古いアニメ『ダンボ』と、失礼ながら普通は聞いたことのないタイトルのちょっと古い邦画『青い春』の二本立て。
それでもそのアングラ感が魅力なのだろう。大人1500円、中高生1000円、小学生500円の入場料は良心的だと思う。子供が車外に出てスクリーンの前で踊ったりもしていて自由な雰囲気満載だ。
もちろん車内ならマスクも外してじっくりと個室特等席鑑賞可能。各々の車内冷暖房も必要なのでエンジンもかけてOKなのだそうだ。
昼間のモトクロスの喧騒とはかけ離れたロマンチックな河川敷。これもひとつのアメリカンドリームの象徴なのだろうか。その夢のなかにいるような感覚に陥った。次回は自分の子供を連れて観に来よう、そんな気持ちになった素敵な夜だった。
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