コロナ禍で再注目! 若い子は聞いたこともない!? ドライブインシアターが復活


 2010年10月、最後に残っていた大磯プリンスホテル駐車場での上映を最後に姿を消した、「ドライブインシアター」が近年復活したという。

 青春時代にデートで行ったなど懐かしさを憶える読者もいれば、平成生まれの読者では聞いたことすらない……という方もいるのではないだろうか? しかし、このドライブインシアターが、コロナ禍で問題となっているソーシャルディスタンスを保ちながら楽しむエンタメとして、今再び注目を浴びている。

 今回は、ドライブインシアターとはなんぞや!? というおさらいから、復活したドライブインシアターの人気具合や気になる上映作品など最新情報をお届けしたい。

文/大音安弘
写真/Adobe Stock(Gabe Shakour@Adobe Stock)、Do it Theater

【画像ギャラリー】あまりよく知らない人もいるドライブインシアターのミニ知識


■米国で生まれたドライブインシアター

 ドライブインシアターとは、巨大な平置き駐車場内に設置された大型スクリーンで上映される映画を、クルマの乗ったまま楽しむ屋外映画施設だ。その歴史は、自動車大国アメリカで始まった。

 世界初のドライブインシアターは、1933年6月に米国ニュージャージ州カムデンに誕生。当時の記事によると、オープンには、20~30の異なる州から約600人の集まったという。好奇心の強い新しもの好きの人たちの関心を強く引いたことが伺える。

 1施設600人の観客からスタートしたドライブインシアターは、第2次世界大戦後、全米で定着。ピークとなった1950年代には、4000を超えるまで増えたというから驚き。

 16歳になったら、運転免許を取得して、親のクルマでデートするなんて、古きよき青春映画のような光景が繰り広げられていたことが想像される。米国でのブームを受けて、その後、欧州でもドライブインシアターが広がったと言われる。

本場アメリカのドライブインシアターの様子だが、広大な土地があるアメリカならではの方式ともいえる。ドライブインシアターの特徴として、それぞれの車内で観賞できるので、プライベートな雰囲気で特別感のある時間を楽しむことができる(Gabe Shakour@Adobe Stock)

 広大な土地のある米国では、ドライブインシアターの設置場所に困らず、しかも映画館を建てるよりもずっとローコストであったことも、普及を加速させた要因であった。

 ただオープンが夕方以降に限定されること。気温の下がる冬場は、客足が遠のくなどの課題も抱えていた。そのため、多くの客を集めるために、さまざまなイベントを実施したりもしていたようだ。

 また当初は、映画音声の提供に試行錯誤があったようだが、カーステレオの普及が追い風となり、FMラジオを通じて提供されるようになった。

 残念ながら、1970年以降は衰退の道を歩むことになり、その数が減少。この背景には、地価の高騰に収益の悪化や家庭用ビデオの普及などが影響したと言われる。

 また屋外上映に相応しくない大人向け作品の扱ったドライブインシアターの存在も、市民から非難を浴びるようになったようだ。少しデータは古いが、2014年3月時点で、348の施設が運営中とのこと。この数は、全米の映画館の約1.5%に過ぎないそうだ。

■過去には日本でも小さなブームがあった

 日本でもドライブインシアターは早くから導入され、1961年に神奈川県小田原市のトヨペット小田原サービスセンター内に「ドライブイン野外劇場」の名でオープンしたのが始まりとされる。

 1960年代といえば、日本にもモータリゼーションが到来した頃。その機運を盛り上げようと、米国の情報を貪欲に集め、クルマで楽しむレジャーのひとつとして取り入れようとしたのだろう。

 ただ日本では1990年頃がピークで、全国最大で20カ所程度と小さなブームに過ぎなかった。クルマが普及するいっぽうで、クルマで遊ぶという文化は限定的だった日本では、あまりなじまなかったのだろう。

 また大型の映画館の普及拡大も逆風となった。そして、2010年10月11日に日本最後のドライブインシアターとなった神奈川県大磯町の「大礒ロングビーチ」で運営が終了し、その歴史に幕を閉じることになる。

次ページは : ■コロナ渦中で見直されるドライブインシアターの今

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