趣味のバイク走行やイベント撮影などで、筆者が度々お世話になっている「オフロードヴィレッジ」(埼玉県川越市)は全日本モトクロス選手権も開催されるれっきとした本格的モトクロスコースだ。
そして大型連休の真っ最中、そこの社長さん(元全日本モトクロス王者でレジェンド)のSNS発信で驚いた。「今日もドライブインシアターやるから来てね!」と記されていたのだ。
またまた社長さん面白いこと考えたなー。ドライブインシアター(※以下DIT)って見たことないし、興味あり!ということでワリと近所のコースに午後から出かけてみた。
社長を直撃すると、「あー、あそこで準備してる若いのに聞いてねー」と言われた。なるほど広いパドックエリアを貸し出したんですね。アポなし突撃取材敢行。
文、写真/池之平昌信
【画像ギャラリー】家族でワイワイ楽しめる個室映画館!! モトクロスコースにドライブインシアターが出現
■現代の日本にアメリカ生まれの映画文化が降臨
筆者は「コロナ禍で密回避の映画鑑賞スタイルを提案する、やり手の商売人」を想像していたのだが、それは見事に裏切られた。そこに居たのは純朴そうな青年だったのだ。
柿沼節也さん、28才。早稲田大学文学部・映画サークルOBだという。バイクの巻き上げる土埃と爆音にまみれながら同年代の友人数名でコツコツ黙々とセッティングしている姿が印象的だ。ところでなぜ今DITなんですか?
「実はコロナ禍より前からココで何回もやってるんですよ。数年前にアメリカ横断ドライブ旅行中に出くわした光景に感動して…。日本でも!と決意しました」
へー、アメリカにはまだあるんですか!もうすたれた米国自動車文化だとばっかり思ってましたが…。
「全盛期(1960年代)には全米で5000軒あったらしいんですが、今でも300軒ほどあるようです。やはり都市部より田舎に多いですね。夕暮れとともに浮かび上がる映像は素敵なんですよねー」
と、語り始めるとDIT愛があふれ出して止まらない柿沼さん。発電機やトラックに載せた上映機の準備をしながら日没を待っていると一番乗りのお客さんがワゴンRに乗ってやってきた。川越市在住の倉澤さん(45)は奥さんと小学生のお嬢さん3人で来場。フロントベンチシートに仲良く並んで鑑賞するそうだ。
「実はここのリピーターなんですよ。DITを本場で見たことはないですが、映画のワンシーンなどでよく見ていたので興味がありました。魅力? うーん、やっぱりアメリカへの憧れですかねー」
なるほど、仲良し家族でワイワイ喋りながら見られる映画館なんて皆無なのは確かだ。
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