■価格の安い中古車やMT車が激減!
現在のS660の中古車の価格帯は約123万~約420万円と最安値、最高値とも20万円アップしている。3月の時点では約160台あった160万円以下の中古車はわずか6台へと激減。価格の安い中古車がごっそり姿を消してしまっているのだ。
グレード構成はαが約64台、βが約20台、コンセプトエディションが約3台、モデューロXが2台そしてムゲンRAが約1台。そのほかが約4台となっており、価格の安いクルマだけでなく、モデューロXやムゲンRAといったスペシャルモデルも大幅に減少している。
そして、最も驚いたのは、トランスミッション。約94台の中古車のうち約74台がCVT車で、MT車はわずか20台と激減してしまったのだ。
ホンダS660は2015年2月にαとβの2グレードで販売開始された。この時に発売を記念して、660台限定の特別仕様車「S660コンセプトエディション」を発売。
2017年5月にαをベースとした特別仕様車「ブルーノレザーエディション」を発売。同年10月にはβのCVT車をベースとした「コモレビエディション」という特別仕様車を発売。
2018年5月には一部改良を行うとともに、コンプリートモデルの「モデューロX」を追加している。同年12月にはαをベースとした特別仕様車の「トラッドレザーエディション」を発売。そして2020年1月S660は初のマイナーチェンジを行い、内外装の変更を行っている。
■モデューロX バージョンZの未使用車は約420万円というプレミアム価格!
そして2021年3月12日にファイナルモデルともいえる「モデューロX バージョンZ」を発売した。この変遷により、2015年3月から2019年12月までを前期型、2020年1月のマイナーチェンジ以降を後期型とすると、現在中古車のうち約90台が前期型、残りの4台が後期型となっている。
2021年3月に生産終了のアナウンスがあったものの、まだ1年弱はS660の新車は生産される。しかし、2021年式のモデューロXの未使用中古車が約420万円というプレミアム価格になっているように、今後市場に出回るS660の中古車はこういったプレミアム価格の未使用中古車が多くを占める可能性は高い。
また、現在所有しているオーナーが手放したとしても、100万円台の中古車として出回る可能性は現在の情勢からするとかなり期待薄だ。
新車は定価があるが、中古車は需要と供給のバランスで価格が決まるものである。海外のバイヤーが高値を付けて、どんどんと海外流出してしまうと日本国内のユーザーにとってS660の中古車は高嶺の花というものになってしまう。
もし、購入を考えているのであれば、この値上がり傾向がいつまで続くかわからないので、すぐにでもアクションしたほうが良いだろう。できれば、この値上がり傾向が1日でも早く落ち着いてもらいたいが、その見通しは立っていないのが現状だ。
まさに、この寝耳に水ともいえるS660の中古車の流通台数の減少、そして値上がりは、「中古車のグローバル化」によるものだろう。
また、ホンダが2040年にはEV、FCVをグローバルで100%にするという社長会見の影響も拭いきれない。
ミドシップにエンジンを搭載した軽オープンカーという唯一無二のS660の存在が世界に認められたともいえるかもしれないが、今後このような生産終了とともに急激な相場の高騰は珍しいことではなくなるのかもしれない。
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