新型ヴェゼル対ヤリスクロス対キックス 波乱の三つ巴対決!! 3台の長所と短所

「動力性能がピカイチ」のキックス

 車両本体価格276万円からと、やや高め設定となる日産キックス。武器は、1.2リッター3気筒ガソリンエンジンを発電機としたモーター駆動のe-POWERによる、圧倒的な動力性能だ。

写真のボディカラーはダークブルー。シルバー加飾と相まってシンプルなカッコよさがある。カラーは他にもツートンが4種類、単色はダークブルーを含む9種類から選べる
写真のボディカラーはダークブルー。シルバー加飾と相まってシンプルなカッコよさがある。カラーは他にもツートンが4種類、単色はダークブルーを含む9種類から選べる

 e-POWERによる低速域からのパワフルさ(最大トルク260Nm)は実に頼もしく、「胸のすくような加速」を味わうことができる。また、きびきびとしたステアリング特性に仕立ててあるため、コーナリング時のハンドル角がビシッと決まりやすく、運転操作が楽しめるのも魅力だ。

 しかしながら、ガソリン仕様がないために廉価なグレードを求めるユーザーには届かず、SUVなのに4WDの設定もない。どんなにFFの走行性能を極めようとも、雪国に住む方にとってはFFでは意味がなく、4WDは必須アイテムだ。高度な4WD制御が欲しいとまでは言わないが、E-Fourのような簡易4WDでもいいから欲しかったところだ。

 ヤリスクロス、新型ヴェゼルはきちんとガソリンモデルと、4WDを用意し、日本のユーザーの声に、きちんと耳を傾けている。日本市場を重要視するならば、いまからでもキックスに4WD仕様を用意してほしい。

ステアリングホイールは現行型ノートと共通部品。インテリジェントルームミラーはインテリジェントアラウンドビューモニターとセットでオプションとなる
ステアリングホイールは現行型ノートと共通部品。インテリジェントルームミラーはインテリジェントアラウンドビューモニターとセットでオプションとなる
開口部が広く、荷室スペースは十分にある
開口部が広く、荷室スペースは十分にある

先代に続き「パッケージングのよさ」が光る、新型ヴェゼル

 前評判通り、高い完成度で登場してきた、新型ヴェゼル。その最大の魅力はやはり「パッケージングのよさ」だ。

 ホンダの得意とする、センタータンク方式と、後席のダイブダウン機構によって、フラットで広大な荷室を実現。このパッケージングのよさからくる、優れた使い勝手と居住性は、ヴェゼルの最大の魅力だ。パワートレインもe:HEV の他に、1.5Lガソリンもあり、更には2WDと4WDも設定されており、いずれも走行性能にもぬかりはない。

 この新型ヴェゼルで気になるのは、「面白みの欠如」だ。運転感覚がナチュラルで、優れたクルマに進化したことは間違いないが、新型となったヴェゼルは、先代ヴェゼルが持っていた若々しくキビキビしたフィーリングが抜け、全体的に丸められた印象となってしまった。特にe:HEVが顕著で、キックスがもつパンチのある加速感や、ヤリスクロスのような軽快感が、感じられない。

 新型ヴェゼルは、販売の9割がe:HEVだというが、ガソリンモデルの方が、クルマの動きが軽快で、昔ながらの元気なホンダのイメージに合致している。「クルマは安全に移動する道具であればよい」という方には、どうでもよい話かもしれないが、「正統派進化すぎて面白みが減っている」、というのが筆者の感想だ。

 先代ヴェゼルの軽快さが肌にしみこんでいる、乗り換えのユーザーには「ヴェゼルが優等生になり過ぎてしまった」と思われてしまうかもしれない。

新型ヴェゼルのボディサイズは4330(±0)×1790(+20)×1580(-25)(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2610(±0)mm(カッコ内は同車前型との差分)
新型ヴェゼルのボディサイズは4330(±0)×1790(+20)×1580(-25)(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2610(±0)mm(カッコ内は同車前型との差分)
水平で凹凸が少ないダッシュボードや、インパネ最上段の特等席に鎮座したナビゲーションモニター、ドア付になったサイドミラーなど、運転席からの視界はバツグンに良い
水平で凹凸が少ないダッシュボードや、インパネ最上段の特等席に鎮座したナビゲーションモニター、ドア付になったサイドミラーなど、運転席からの視界はバツグンに良い
後席シートを折りたたんだ時に荷室が完全にフラットになる機構は、相変わらずお見事だ。このホンダのパッケージングの巧みさは世界一だと思う
後席シートを折りたたんだ時に荷室が完全にフラットになる機構は、相変わらずお見事だ。このホンダのパッケージングの巧みさは世界一だと思う

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