世界5位の実力!? 韓国車は日本車に並ぶのか? 釜山モーターショーに見る韓国車の今

■エコカーは韓国勢の燃料電池車に要注目

しばらく前の韓国車躍進の理由は大きくわけて以下の3点だった。

1. ヒュンダイソナタ(カムリ級のセダン)の先代モデルの流麗なスタイルに代表されるデザイン力の劇的な向上とインテリアの質感の高さ

2. エンジンはNAエンジンに加え、ディーゼルやダウンサイジングターボ、トランスミッションも多段ATに加え、DCTも設定するなど、豊富なパワートレーンを持つ

3. その上でアメリカでの価格を見ると同クラスのトヨタに対し約10%安と、やはり価格競争力が高い

1.に関しては最近のヒュンダイ車のスタイル(主にグリル)にクセのようなものを感じるようになった、インテリアの質感が以前ほどは良くないモデルもある。

エコカーに関してヒュンダイを例に挙げると、ハイブリッドカーはプリウスキラーという前評判もあったアイオニック、ソナタ、ソナタの1クラス上のグレンジャー(それぞれトランスミッションを持つフィットなどのホンダの1モーターハイブリッドに似た機構)がある。

アイオニックのEV。EV性能としてはリーフなどと遜色ない性能を持つ
アイオニックのEV。EV性能としてはリーフなどと遜色ない性能を持つ

プラグインハイブリッドは1モーターハイブリッドのバッテリーを増やす形でアイオニック、ソナタに設定されているが、目新しさは特になかった。

ヒュンダイのEVにはアイオニックとヴェゼルなどのサイズに相当するSUVのコナがある。

アイオニックはハイブリッド、プラグインハイブリッド、EVと多くのラインアップを持つエコカーになる。28kWhのバッテリー容量で航続距離は約200km。

SUVのコナはバッテリー容量64kWhで航続距離は約400kmとなる。キアにも数車種、韓国GMにもコンパクトカー級のボルトEV(バッテリー容量64kWhで航続距離は約400km)などがあり、日本車よりバリエーションは多い。

しかしバッテリー容量と航続距離の関係をアメリカ仕様のリーフの約240kmを基準にして見ると、同等に近く、EVでも新しさは感じない。

意外なのが燃料電池車で、2018年1月にアメリカで行われたCESで公開されたミドルクロスオーバーの燃料電池車となるネクソは韓国ではすでに販売されている。

燃料電池自動車のネクソ。燃料電池自動車が韓国でも発売されているというのは大きなトピックだ
燃料電池自動車のネクソ。燃料電池自動車が韓国でも発売されているというのは大きなトピックだ

代表的なスペックは最高速179km/h、航続距離約600km、価格はベースグレードで約730万円(補助金などを差し引くと実質約340万円)といったあたり。

「世界的に見れば燃料電池車が市販されているだけでも凄い」ということを頭に置けば、燃料電池車に関しては進んでいる。もはや日本並といえる。

エコカーに関してまとめると「以前ほどの勢いはないにせよ、路線が近い日本車にとってはやはり手ごわい」というのが結論だ。

■ついにスポーツカーにも本腰で挑んできた韓国勢

6年振りに韓国のモーターショーを見て最も韓国車の変化を感じたのはこのスポーツカーと高級車のカテゴリーだ。

というのも6年前の韓国車にこの分野のモデルはヒュンダイのジェネシス(レクサスGS級のセダン)、スカイラインクーペのようなジェネシスクーペがあったくらいで寂しかった。

そのあたりはかつての日本市場には山のようにスポーツカーがあったことを考えると、韓国メーカーのクルマ好き度は薄いのかもしれないと思ったものだ。

しかし2018年に見たヒュンダイ&キアは「クルマ好き度」が一気に濃厚になっていた。驚くくらいに。

その1台目が昨年(2017年)5月に登場したキアスティンガーだ。日本車ならスカイラインやレクサスIS級セダンのスティンガーは「BMW3シリーズキラー」とも言われているスポーツセダンである。

素直にカッコいい!! と思う人も多そうなスティンガー
素直にカッコいい!! と思う人も多そうなスティンガー

開発にあたりBMWのスタッフを引き抜いていることもあり、内部構造を見てもエンジンルームの補強バーやバッテリーが後ろにある点などBMW的ではある

スペック的には全長4830㎜×全幅1870㎜×全高1400㎜というスカイラインに近いボディサイズに、パワートレーンはすべて8速ATと組み合わせされる。

エンジンルーム内の補強などドイツ車らしき設計も垣間見える。開発者の影響だろう
エンジンルーム内の補強などドイツ車らしき設計も垣間見える。開発者の影響だろう

2リッター直4ターボ(255馬力&36.0kgm)、2.2リッター直4ディーゼルターボ(202馬力&45.0kgm)、3.3リッターV6ツインターボ(370馬力&52.0kgm)を搭載し、4WDも設定される。

プラットフォームは後述するジェネシスG70にも使われるものと共通で、このあたりはレクサスLSやLCに使われるトヨタのTNGA-Lプラットホームをサイズを変え新型クラウンも使っているのに似ているかもしれない。

そして趣味性、スポーツ性という部分では各部にカーボンパーツやアルカンターラのステアリングやセレクトレバーを使う仕様もあり、全体的にビジネスライクな印象が強かった韓国車とは一線を画す。

また釜山モーターショーに展示されていたのがSEMAショー(アメリカで行われる世界最大のカスタマイズカーショー)に出展されたモデルという点にも、韓国メーカーの変化を感じる。

さらにアメリカでの価格は2リッターターボのベーシックモデルで3万1900ドル(約350万円)と、同等のエンジンを積むレクサスISのベーシックモデルに対し15%ほど安い。

ベストカーでレーシングドライバーの松田秀士さんがレポートしているように乗ったフィーリングも良好というのだから日本車にとっては恐ろしい存在だ。

次ページは : ■高級車ブランドを生かすクルマ作り

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!