■高級車ブランドを生かすクルマ作り
高級車分野での2つ目の話題が前述したヒュンダイの高級ブランド「ジェネシス」だ。車名からブランドに昇格したジェネシスは現在G70、G80、G90をラインアップ。
時代とのマッチングはともかくとして、5リッターV8を積むG90があるというのもどこか余裕を感じられる。ジェネシスは現状だと全体的にリアビューやインテリアがベンツ的なところはあるのも事実。
しかしG80とレクサスGSを比べるとやはり価格はG80が20%近く安く、これで高級品、高級車にとって機能以上に重要な要素でもある「個性、キャラクター、世界観」がハッキリしている。
ここに2ドアクーペのような本当のラグジュアリーカーが「ジェネシスブランド」で出てくると、価格や機能だけでなくブランド力も高まりそうだ。
と書いていたら、ジェネシスは今年のニューヨークモーターショーでEVで0-100km/h加速3秒というパフォーマンスを持つ2プラス2のスーパーカーのコンセプトカー「エッセンシア」をワールドプレミアしていたのを思い出した。
また高級車ではキアもジェネシスG90の兄弟車となるK9を今年4月にフルモデルチェンジしている。
そうそう、スポーツモデルといえば忘れてはいけない1台がある。
ヒュンダイがi30(ゴルフ級の5ドアハッチバック)に続くNシリーズ第2弾として、デトロイトモーターショーでワールドプレミアしたヴェロスターNを釜山モーターショーで韓国初公開したのだ。
ヴェロスターというクルマは一見3ドアのファストバッククーペに見えるのだが、よく見ると助手席側にはリアドアがあるという、ゴルフ級という車格も含め以前のVWシロッコに近いモデルである。
ヴェロスターNは6速MTと組み合わされる2リッター直4ターボ(250馬力&36.0kgm)を搭載し、ラウンチコントロールやシビックタイプRのようなシフトダウンの際の回転を合わせてくれる機能なども備えるスポーツモデルだ。
ここまではスタンダードモデルのスペックで、オプションのパフォーマンスパッケージを加えると最大トルクは変わらないものの、最高出力は275馬力にアップし、タイヤも18インチから19インチに大型化され、それに伴いブレーキディスクの1サイズ拡大。
電子制御LSDなどが装備される。韓国での価格は約297万円(パフォーマンスパッケージは約20万円高)となる。ヴェロスターNはニュルブルクリンク北コースでのタイムの公表もなく、実力は未知数というのが率直な印象だ。
しかしヒュンダイがこういった本格的なスポーツモデルを造り始めたというのは、韓国本国のユーザーへの影響はともかくとして、普通のクルマへのフィードバックやWRCでの活躍によるブランドイメージの向上につながるのは間違いないだろう。
以上最新の韓国車を見た印象をまとめると、普及モデルやエコカーに関しては日本車にとって依然として怖い存在なのは事実ながら、特に新しい技術もなく停滞感のような印象は否めない。
しかし高級車やスポーツモデルといった趣味性を求められるジャンルに力を入れ始めたヒュンダイ&キアを見ると、先々再び大化けする可能性は十分にある、というのが結論だ。
それだけに日本のクルマ好きも日本で販売されないという背景は大きいにせよ、韓国車も常にマークしなければならない存在であるというのは頭に置くべきだと強く思う。
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