こんな行為がクルマをダメにする! クルマの暑さ対策 延命する乗り方とメンテナンスとは

紫外線によってヘッドライトやテールレンズが劣化

 さらにヘッドライトやテールランプなどの灯火類のレンズも紫外線によって劣化してしまう。本来、ヘッドライトレンズの表面には傷防止や紫外線による劣化を抑える被膜が施されているのだが、それも経年劣化して効果を失っていくため、放っておくとダメージが蓄積されていくのだ。

 屋根のない駐車場に置いていると、5、6年を経過したあたりからヘッドライトのレンズが黄ばんできて、やがて透明度が低下して濁ってきてしまう。

 屋根が確保できないのであれば、ヘッドライトにはUV吸収剤の入ったワックスやコーティング剤を定期的に塗っておくことで、ある程度は防げる。ヘッドライトが曇ると、途端にクルマは古ぼけた印象になるので、これは習慣化しておきたい。

ダメージが少なそうな室内でも、長い目でみれば…

ダッシュボードの上に1時間コーラのペット置くとプクプクと泡立ち、その炭酸ガスでフタが押し上げられ破裂寸前に……。強い日差しを甘く見てはいけない。液温は45℃を突破
ダッシュボードの上に1時間コーラのペット置くとプクプクと泡立ち、その炭酸ガスでフタが押し上げられ破裂寸前に……。強い日差しを甘く見てはいけない。液温は45℃を突破

 外気に晒されているボディと比べると室内の部品たちは、かなり環境的には良さそうに思える。最近はリア3面がプライバシーガラスのクルマが多いことに加え、フロント3面もUVカットガラスで熱線もカットする仕様も多い。

 そんなガラスの仕様なら、室内が紫外線でダメージを受けることは少ないが、単純に温度が上昇することで内装にジワジワとダメージが蓄積する。

 3年や5年で内装材がヒビ割れたりするようなことはないが、あまりに温度が上昇すると内装の接着剤やスポンジの劣化を早めることにつながる。

 特に最近のクルマは昔と比べて表面仕上げが進化した分、劣化すると進行も速い。木目調パネルなども新車時の状態を維持したいのであれば、ワックスやコーティングで表面を保護してやることだ。

 換気のために窓を開けているとUVカット効果も、その開口部は失われるので、長期間続けていると特定の場所だけ樹脂表面の劣化が進むこともある。

 これは住宅などでは顕著なので、クルマも駐車場に置いている時の陽射しの当たり方などに気を付けよう。リアクォーターウインドウやフロントドア前の小さなウインドウはUVカットガラスではない車種もある。そこからの陽射しが当たっているところだけ、色褪せやヒビ割れが起こることもあるのだ。

渋滞時のエンジンルームは過酷な環境!

35℃以上の猛暑日に渋滞が続くとクルマを痛みつけることになる。やはりしっかりとしたケアが必要なのだ(oka@Adobe Stock)
35℃以上の猛暑日に渋滞が続くとクルマを痛みつけることになる。やはりしっかりとしたケアが必要なのだ(oka@Adobe Stock)

 最近の国産車であれば新車から3年、1回目の車検くらいまでは、エンジンオイルの交換以外、ほとんど何もしなくてもエンジン回りのコンディションが大きく変化することはない(よほどハードな乗り方をされていれば別だが)。

 だがそこから後はオーナーの乗り方やメンテナンスによって、差が出てくる。影響が大きいのはやはり乗り方とオイル管理だろう。

 エンジンオイルは潤滑だけを担っている訳ではなく、冷却も重要な役割をもっている。オイル交換を怠っていると、スラッジやカーボン、金属粉がオイル中に増えてしまい、狭い部分にそれらが詰まって潤滑不良や油圧低下を起こしてしまう。

灼熱の日差しになった際にはエンジンオイルにとって非常に厳しい状況。しっかりメンテナンスを行いたい
灼熱の日差しになった際にはエンジンオイルにとって非常に厳しい状況。しっかりメンテナンスを行いたい

 灼熱の渋滞はエンジンオイルにとっても厳しい環境なので、普通に走っているより劣化が進んでしまうのだ。

 エンジン内ではオイルパンに堆積しているだけでなく、ピストンリング溝などの隙間に溜まり、リングの固着などを起こし、圧縮漏れの原因にもなる。真夏のドライブ前にはエンジンオイルを点検し、早めに交換しておくことだ。

 オイル環境が厳しいのはエンジンだけでなく変速機にも言えることで、周囲のクルマと共にサウナ状態にあるなかで、剪断力を受けながら油圧を確保して走行するのは、ATFやCVTフルードの劣化を早める。

 自動車メーカーやディーラーではトラブル回避のためATF交換は推奨していないが、個人的には夏前などに定期的なATF交換(できれば圧送しない方法で)をすることをお勧めしたい。

いよいよ本格的な夏が始まる。その前にクーラント液を見て、汚れがないか、減っていないか、チェックしよう(nikkytok Adobe Stock)
いよいよ本格的な夏が始まる。その前にクーラント液を見て、汚れがないか、減っていないか、チェックしよう(nikkytok Adobe Stock)

 また真夏はクーラント(冷却水)が減ることもある。それを知らずに乗り回していると、冷却水のLLCの濃度が上昇し、不純物などの汚れも濃縮されてしまう。するとエンジンのシリンダーブロックやシリンダーヘッド、ラジエターのチューブ内に不純物が堆積して熱伝導を低下させて、エンジンやエンジンルーム内の温度上昇を招くことになる。

 夏前と夏の終わりにはボンネットを開けて、クーラントの量と汚れを点検してみることだ。これはラジエターではなく、樹脂製のリザーバーランクに刻まれているレベルゲージを見て判断する。

 汚れはタンクの蓋を開けて、クーラントの色や濁り具合、油などが浮いていないかなどで判断する。もし少しクーラントが減っているようなら精製水(バッテリー補充液としてカー用品店でも売っている)を足してやろう。

 電装品では、イグニッションコイルの負担増にも要注意だ。そもそも10万ボルトを超える高電圧を扱っているだけに、一部分が劣化したり、高温下に置かれると負担が増えて寿命は縮まることになる。

 ダイレクトイグニッションで1つのプラグ毎に1つのコイルを備えているクルマは、効率がいい反面、シリンダーヘッドの上にあるコイルは熱環境が厳しい。

 渋滞などでエンジンルームの温度が上昇すれば、昇圧させるコイルやダイオードなどの負担はさらに増大して、寿命を縮める。コイルとスパークプラグの間にあるサプレッサー(国産車はコイルとASSY)が劣化するとコイルの負担も増えるので、長く乗るならプラグとサプレッサーの定期的な交換も心がけたい。

 バッテリーもやはり温度の高い環境では水分の蒸発も増えて、極板の負担も増える。補水できるバッテリーであれば、インジケーターなどで状態をチェックして、補水して補充電してやると、バッテリーが長持ちする。

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