日本で輸入車を買うと本国で買うより超割高は本当? 実は日本が安い事実!!

日本で輸入車を買うと本国で買うより超割高は本当? 実は日本が安い事実!!

 日本で輸入車を買うと、海外からの輸送費、ローカライゼーションのコスト、為替変動リスクのため現地で同スペックのクルマを買うよりも割高になっていないとおかしい気がする。

 それに加え「おもてなし」を重視する日本向けのサービスコストもかかるはずで、何となく日本で輸入車を買うと本国で買うよりも割高なイメージがある。

 かつてはポルシェやフェラーリなどの妙に安い海外並行輸入車を見て、「正規輸入車よりかなり安いけれど本当にこれ大丈夫?」とよく思ったものだ。

 そこで「日本で輸入車を買うと割高」というのは本当なのだろうか?

 最新の輸入車、それも日本で売れ筋のオプションをつけた正味でのクルマの価格がドイツとアメリカ、日本でどれぐらい差があるのか内外価格差を検証してみた。

文/柳澤隆志
写真/メルセデス・ベンツ BMW ポルシェ

【画像ギャラリー】日本で注目度の高い輸入車たち 本国との価格差はどれくらい?


各国のオンライン見積もりで徹底比較

 確認にはそれぞれの国のメーカー公式HPのコンフィギュレーターを用いた。コロナ禍でクルマのオンライン販売が増えたため、かなり高い精度でオンラインでの見積もりが取れるようになってきている。

 アメリカではディーラーに数千ドルの販売奨励金が出ることが珍しくなく、それが値引きの原資になることもあったりするのでコンフィギュレーターでの価格はあくまでも建前の部分もあるが、大体の傾向はわかる。

 ただし各国で微妙に装備内容が異なるため「可能な限り同等の装備」の比較であることをあらかじめお断りしておく。

メルセデス・ベンツEクラスセダン E300 Sports

メルセデス・ベンツEクラスセダンに乗る人はSクラスにステップアップするのではなく長くEクラスに乗り続ける人が多いという
メルセデス・ベンツEクラスセダンに乗る人はSクラスにステップアップするのではなく長くEクラスに乗り続ける人が多いという

 まずはメルセデス・ベンツから。本当なら最上級のSクラスで日米欧の価格差を比較したいところだが、アメリカでは新型Sクラスの導入が2021年後半からで現時点では比較できない。そのためEクラスセダン、日本名E300 Sportsで比較してみることにする。

 E 300 Sportsは2リッターDOHC直4ターボエンジンにより190kW、258馬力を生み出すガソリンエンジンモデル。同じ車でも日本とドイツではE300、アメリカではE350のバッジをつける。

 ちなみにアメリカではEクラスはセダン・ステーションワゴン問わずディーゼルエンジン搭載車は売られていない上、欧州・日本で人気の高いステーションワゴンもE450 4MATIC All-Terrain Wagonの1種類しか売られていない。各国で顧客の嗜好が大きく違い、商品戦略も異なるのがよくわかる。

 日本ではEクラスセダンというとファミリーカーのイメージが強いが欧米では実用性と堅牢性、ステータスの高さから社用車としても使われていることが多い。

 筆者もかつて海外出張に行った際、ホテルのドアマンが小遣い稼ぎに100ユーロでミラノ市内からマルペンサ空港までEクラスセダンで送ってくれるというのでお願いしたら、荷物も積めてレッグルームも広くてアウトストラーダを日本の制限速度の2倍近い速さで駆け抜けてあっという間に快適に空港に着き、最高の実用車だと感心したことがある。

 こちらのクルマ、日本仕様だと先進装備がすでに「全部盛り」に近い感じで標準装備されている。お値段もその分ご立派な910万円(税込み本体価格)。それにパノラミックサンルーフ(24万4000円)、ダイヤモンドホワイトの外装色(20万7000円)という定番の人気オプションに加えより贅沢な室内空間を生み出す「エクスクルーシブパッケージ」(66万円、ナッパレザーのシート、プレミアムオーディオやヘッドアップディスプレイなどをセットにしたパッケージ)をつけ諸費用を加えると見積もり合計は税諸費用込みで1045万800円となる。

 このベースで日米欧での価格をそれぞれ比較した。

ダイヤモンドホワイトはおなじみの非常に人気の高い外装色、20万7千円のオプション設定
ダイヤモンドホワイトはおなじみの非常に人気の高い外装色、20万7千円のオプション設定
(出所:メルセデス・ベンツ各国HPのコンフィギュレーター計算結果から筆者作成、国ごとに装備が微妙に異なることもあり完全に同一の比較にはならない)
(出所:メルセデス・ベンツ各国HPのコンフィギュレーター計算結果から筆者作成、国ごとに装備が微妙に異なることもあり完全に同一の比較にはならない)

 結論から言うと、日本での税込み(比較のため諸費用抜き)の本体・パッケージオプション合計の価格を100とし、現在の為替水準で円貨換算するとドイツの価格は120.6、アメリカでの価格は87.3となった。

 つまりほぼ同様のスペックのドイツ車を本国で買うと日本で買うよりも2割以上、200万円以上高くなるということだ。そしてアメリカで買うと日本より1割以上安く、ドイツよりも4割弱、340万円近く(!)安い。

 日本とアメリカでは3年間のメンテナンスパッケージとメルセデスミーコネクトというテレマティックサービスが含まれるがドイツでは含まれないことを考えると、実質ドイツ価格はさらに割高になる。

 日本の消費税率10%に対してドイツの付加価値税率は19%、アメリカでは州によって異なるが平均的に10%程度。税率がほぼ2倍のドイツでは税込みでのクルマの価格が高くなる分を調整するために税抜きで比較しても日本を100とするとドイツは114.9、アメリカは90.0。

 税抜きベースでも本国ドイツからはるばる送られてきたクルマを日本やアメリカで買う方がドイツ国内で買うよりも安いのだ。

 つまりドイツ本国から同等のパッケージのクルマを日本に並行輸入するメリットは何もないことになる。むしろドイツから日本に輸入されたクルマをまた逆にドイツに送り返して売ったらちょっぴり儲かるかも、というレベル。

次ページは : BMW330iセダン M Sport

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタGRスープラと日産GT-R、遂に最終章へ!? 現・音羽の不夜城で作った最後のベストカー4月10日号、堂々発売!!

トヨタGRスープラと日産GT-R、遂に最終章へ!? 現・音羽の不夜城で作った最後のベストカー4月10日号、堂々発売!!

国産旗艦スポーツカー2車種が最終章に突入! Z世代VS最新スポーツカー、ホンダ最新車分析などパワフルな企画目白押し! 現・音羽の不夜城で作り上げた最後のベストカー、4月10日号テイクオフ!