日本で輸入車を買うと割高、というのは都市伝説だった
見てきたように、ドイツからわざわざ海を越えて運んできたEクラスや3シリーズは現地で買うよりも日本で買うほうがざっくり10~20%程度割安だった。
だがコルベットは日本で買うほうがアメリカで買うより25%も高いことも分かった。またポルシェ911GT3は日本で買うほうがドイツで買うよりやや高い。
つまり今回輸入車は日本で買うほうが「必ず割高」というのは都市伝説に近いことが分かった。
アメリカはアーリーアダプター、すなわち1つのブランドを信奉するのではなく商品の魅力や新奇性に魅かれてブランドを乗り換える心理的垣根の低い消費者が多いので価格を含めた競争が激しく、自社ブランドにあぐらをかいて高い値付けをするのが難しい市場であるといわれているが、改めて内外価格差を確認するとそれが見て取れた。
逆に言うと、ドイツでドイツ車を買う方が日本やアメリカでドイツ車を買うよりも割高なことが多いのは、ブランド価値をうまく価格に転嫁できるブランドロイヤリティの高い顧客が多いということを意味しているのかもしれない。
日本はレクサスのようなブランドから輸入車への乗り換えを誘う必要もあり、価格感応度もそれなりに高い消費者が多いことから競争力のあるプライシングをする必要があり、結果ドイツ車はドイツで買うよりも安くなっているのかもしれない。
逆に「このブランドのこのクルマでないと」というスペシャリティが高いポルシェ911GT3やコルベットなどは日本で強気のプライスタグをつけているとも考えられる。
直感的にはわざわざ海外に輸出して本国より低いマージンで売るよりも儲かる本国での販売に集中したほうがいいような気がするが、自動車会社のマーケティングの観点からは本国の自ブランドへのロイヤリティが高い顧客だけを相手に殿様商売しているわけにもいかず、競争の激しいレッドオーシャンで戦ってこそ商品力が高まりグローバルな競争に勝てる、ということなのだろう。
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