■ハリアーと同クラスながら、性格を異にする差別化に成功したRAV4
ハリアーとRAV4の今年1月~5月の両車の販売状況は、ハリアーは1月が9177台で4位、2月が8006台で5位、3月が1万428台で7位、4月が7112台で6位、5月が6313台で4位と上々の売れゆきを見せたのはさすがというほかない。
いっぽうの、RAV4は1月が4162台で17位、2月が4220台で18位、3月が5334台で17位のところ、4月には4317台で12位に浮上し、5月は4784台で9位とベスト10に返り咲いた。
モデル末期だったハリアーの対前年比は省くが、RAV4は1月が75.0%、2月が73.5%、3月が84.9%ときて、4月が147.4%、5月が200.8%と急増しているのも興味深い。昨年コロナ禍の影響が大きかった時期とかぶる月は大きな数字となるのは当然だが、順位も上がっていることから、いったん落ち込んだ人気が回復しているかのような印象を受ける。
そんな2台の今年1月~4月のグレード別や駆動方式の販売の傾向を見ると、興味深い違いがみられる。
どちらも上級グレードの人気が高い点では共通するが、RAV4は4WDのほうが圧倒的に高く、ハリアーは2WDのほうが高く、ハイブリッド比率はRAV4が概ね3割だが、ハリアーはほぼ4割に近く、半分を超えた月もある。両モデルに何が求められているかがうかがいしれる。
また、RAV4はPHVの受注再開も報じられてまもないが、昨年秋に発売されたオフローダー仕立ての特別仕様車が好評で、4月には実に4台に1台を超える販売比率を占めているのも印象的だ。
■SUVらしさは「ワクドキ」感につながり根強い人気につながりそうだ
ハリアーとRAV4はトヨタのミドルサイズSUVとしてコンポーネンツの多くを共有するが、かなり性格の違うクルマだから、どちらを選ぶか迷うというケースは本来的にはあまりないはずだ。とはいえ価格やサイズも近いことから、実際には少なからず比較して選ばれている。
RAV4は、よりSUVとしての「ワクドキ」をとことん追求したクルマ。使い勝手のよい室内空間や優れた悪路走破性などSUVとしての機能性も充分に備えているほか、ハリアーにはないトルクベクタリング機構を設定して独自の走る楽しさを訴求している点も特筆できる。
力強いルックスには、かつてのハイラックスサーフあたりに通じる雰囲気もある。それでいて本質的な中身はいたって現代的なクロスオーバーなので、快適で燃費もよい。このデザインや雰囲気が好みで「欲しい!」と思った人にとっては、躊躇なく買えるクルマに仕上がっている。
かたやハリアーは、「初代よりSUVの枠にとらわれない新しい価値を提供し続けて、お客様の感性に訴えてきた」という旨を関係者も述べているとおり。よりスペシャルティ色を強めた現行型は、RAV4があるからこそ、ここまで思い切ったこともできたに違いなく、それがまた高い人気の大きな誘因にもなっている。
新車効果もあって、デビュー以降はハリアーに目が向けた人が多いようだが、逆に、納期の遅れの顕著なハリアーに対して、比較的遅れの小さいRAV4が選ばれているケースもあるはず。
さらには、ちょうどエクストレイルのような強敵がモデル末期だったり、CX-5もやや新鮮味が薄れていたりと、有力な競合車の訴求力が低下してきたタイミングであり、このクラスでタフなイメージを好む層の目がRAV4に集中して向けられていることも、RAV4のプチ回復には影響していそうだ。
あるいは、ハリアーよりもRAV4のほうが、時間が経過してもあまり古さを感じさせないという強みがあり、より息の長い商品力を発揮しそうな印象を受ける。もうしばらくすると両車の販売台数は拮抗し、ゆくゆくは逆転しそうな気がしてならない。
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