■市販されなかった幻のパルサーNISMO
また、この点が今になると一度復活したパルサーのハイライトになると思うが、登場から間もない2014年10月のパリモーターショーにコンセプトカーとしてNISMOが出展された。
標準車よりパワーアップされた1.6Lターボが搭載されていたと想像されるパルサーNISMOは、マッド塗装のグレーのボディカラーに塗られ、エクステリアはサラリとしたオーバーフェンダー、エアロパーツ、19インチホイール、センター出しマフラーなどを装着。
インテリアもレカロと思われるシートなど、赤のアクセントカラーが随所に使われていた。機能面も車高ダウンされたサスペンションに加え、ブレーキも前後対向キャリパーが装着されるなど、コンセプトカーということもあり、普及価格帯モデルのNISMOバージョンとしてはちょっと弾けた内容だった。
しかし、市販されればブランドイメージ向上に貢献しそうだったパルサーNISMOながら結局市販化されず、日産広報部によると、欧州向けパルサーは2018年6月に生産終了となり、現在パルサーの車名は消滅している。
ただ、最後の欧州向けパルサーは中国では現在もティーダの車名で販売されており、僅かながらパルサーの意思を引き継いでいるとも言えるかもしれない。
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海外向けパルサーが消滅したのは、欧州向けに関しては日産車の同クラスに電気自動車のリーフ(現在の急速なEVシフトも大きな追い風だ)があること。
これに加えて、クロスオーバーというジャンルや車格、ボディサイズなどパルサーと異なる点ばかりだが、パルサーの替わりにも使える範囲にある2代目ジューク(日本未発売)の存在も考えると、やむを得ないところだろう。
つまり、海外向けパルサーの消滅は、日産を含めたクルマ全体のトレンドが大きく変化しているということの象徴なのかもしれない。
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