シーマ、スカイラインなど走りの日産名作セダンは今後どうなるのか

■日産セダンを追い詰めた『コストカッター』

『コストカッター』ゴーン体制下で生まれた名車は驚くほど少ない。その中で最大の転機をなったのはV35スカイラインだ
『コストカッター』ゴーン体制下で生まれた名車は驚くほど少ない。その中で最大の転機をなったのはV35スカイラインだ

 しかし、日産もバブル崩壊の余波を受けて、それまでも好調とは言えなかった経営が悪化の道を突き進む。その結果、ルノーとの資本提携を行い、その傘下に収まることに。その日産の救世主として送り込まれたのが、かのカルロス・ゴーンである。

 コストカッターの異名を取るゴーンは、「日産リバイバルプラン」を推し進め、不可能ともいわれた大胆な経営改革を断行する。その結果、日産の経営は持ち直したが、その新生日産に、かつてのファンは大いに落胆を覚えたのも確かだった。

 それは新型車に、かつてのような拘りが見いだせず、失われたものの大きさを感じさせたからだろう。当時の私もそんな印象を持っていた。

もちろん、販売上のヒット作も多く生まれたが、ゴーン体制下で生まれた日産車で名車と称されるクルマは驚くほど少ない。ただ、その中でも最大の転機といえるのが、V35スカイラインだろう。

 元々、ローレルなどのミドルセダンの後継となるべき、高級セダンのコンセプトカー「XVL」を急遽、スカイラインへと仕上げたものだった。誤解してはならないのが、V35スカイライン自体は、駄作ではなく、むしろ優れたセダンであった。

 しかし、それがスカイラインかと問われれば、疑問に感じたファンは多かったはずだ。その掛け違えたボタンは、V36型で軌道修正を図るも、現行のV37型となっても、スカイラインのようなものを作り続ける結果となってしまった。誰にも響かないスカイラインなど悲劇以外の何ものでもない。

 挙句の果てには、インフィニティのバッチを付けるという暴挙にまで及んだ。それはフーガも同様で、主力となるインフィニティ主体の味付けやデザインは、結果として、かつての大人たちを魅了した日産高級セダンとは全く異なるものにしかならなかったのである。

■日産セダンの窮地はスカイラインが救う!?

現行スカイラインに設定された400R。走りのスカイラインを彷彿させる400Rはかつてのスカイライン党を大きく刺激した
現行スカイラインに設定された400R。走りのスカイラインを彷彿させる400Rはかつてのスカイライン党を大きく刺激した

 しかし、今、少しずつ変化も生じている。それが2019年のビックマイナーチェンジのスカイラインだ。

 確かに伝統の4灯丸目テールは、付け焼刃的でもある。しかし、走りのスカイラインを彷彿させる「400R」の新設定は、かつてのスカイライン党を大きく刺激したことも確かだ。

 それは日産が、スカイラインのあるべき姿を改めて見つめ直したとも受け取れるだろう。それがインフィニティQ50のスポーツグレードのリファインだとしても……。

 日産はスカイラインを諦めないというメッセージが本物かどうかは、この数年で答えが出るだろう。それが日産セダンの命運を決めるといっても過言ではない。スカイラインの名だけを受け継ぎ者では意味がない。それだけはしっかりと新型で示してほしいものだ。

【画像ギャラリー】日産自身が開発中止を否定!! 現行型日産 スカイラインを見る

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