なぜホイールは汚れるのか?原因と対策


 人間は、外に出かければ靴が汚れるが、クルマは走ればホイールが汚れる。気づいたときにはホイールが真っ黒、なんて方も多いことだろう。

 ホイールの汚れには、もちろん泥なども含まれるが、前後のホイールで汚れ方が違う、という場合は、ブレーキダストが主な原因だ。ブレーキパッドやブレーキディスク(ローター)が削れることで発生する粉であり、ブレーキをかけるたびにホイールの周囲に少しずつ付着していく。

 よく観察すると、汚れの色は赤茶色であることが確認できる。金属が酸化することで生じるサビの色だ。

 ブレーキダストによる汚れは、放っておくとそのままさらにサビが進行して落ちにくくなってしまうという、厄介な汚れであり、なんとか最小限に食い止めたいところ。また、クルマの用途によって、汚れ方は異なっていくる。本稿ではホイールが汚れる仕組みと対策について、ご紹介していく。

文:エムスリープロダクション/立花義人
写真:エムスリープロダクション、Adobe Stock、写真AC

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街乗りメインの一般車は汚れにくい

 ディスクブレーキは、ブレーキをかけるとローターにブレーキパッドを押し付けて摩擦を発生させ、クルマを減速させる仕組みになっている。そのためローターとブレーキパッドは、ブレーキを使用するたびに、自身の摩擦によって削られていく。

 このブレーキパッドは、一般車用、スポーツ車用、レースカー用など、その用途に応じて様々な種類・価格のものがある。一般車用は「ノンアスベスト材」と呼ばれるアラミド繊維を基材にしたものが主流だ。アラミド繊維は高強度・高耐久性を特徴とするハイテク繊維。スチールを含んでおらず、摩擦熱が生じても気体となって空中に放出されるため、ブレーキパッドからは金属粉が発生しない。

 つまり、ホイール汚れの原因はローターが削れることによって出る金属粉のみとなるため、汚れが付着しにくいというメリットがあるのだ。それほど速度を出さない街乗りがメイン(国産車に多い)であれば、ノンアスベスト材を使ったブレーキパッドでも、十分な制動力と耐磨耗性を確保できる。

国産車の多くは、スチールが含まれていないブレーキパッドが使われているため(ローターからの金属粉のみ)、比較的汚れが少なくて済む(PHOTO:Adobe Stock_milkovasa)

高速走行が想定されるクルマは、汚れやすい

 しかし、スポーツ走行会に参加する場合や郊外のワインディングロードをよく走る場合は、耐熱性の低いノンアスベスト材のパッドでは力不足となる。すぐに効きが悪くなって危険である上に、耐摩耗性も低いのであっという間にすり減ってしまう。

 そういったシーンでは「スポーツパッド」を使う必要がある。「ロースチール」や「セミメタリック」「メタリック」などスチール繊維を主材とするブレーキパッドだ。金属の含有率が高いため、耐熱性・耐摩耗性は増すが、使用すると摩擦によってブレーキパッドとローターの双方から金属粉が発生するため、ホイールが汚れやすくなる。

 サーキットを頻繁に走るのあれば、「スポーツパッド」の中でも金属の含有率が高い「メタリック」系のパッドを使用することになる。高い制動力や耐熱性を得る代わりに、ブレーキパッドとローターにさらに強い摩擦が発生するため、結果として大量の金属粉が発生し、ホイールが汚れることになるのである。

 ちなみに、欧州車(主にドイツ車)はホイールが汚れやすいとよくいわれる。これは高速道路や幹線道路での平均速度が日本より高いため、ブレーキの制動力を優先した設計となっているからだ。

 ホイールが汚れるとしても、また頻繁なローター交換によりお金がかかるとしても、200km/hから安全に止まれるブレーキ性能が備わっていることを重要視しての設計だ。

欧州車は、ブレーキ性能を重視しているため、金属含有率の高いブレーキパッド使用している。そのため、ホイールが汚れやすい

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