高速走行が想定されるクルマは、汚れやすい
しかし、スポーツ走行会に参加する場合や郊外のワインディングロードをよく走る場合は、耐熱性の低いノンアスベスト材のパッドでは力不足となる。すぐに効きが悪くなって危険である上に、耐摩耗性も低いのであっという間にすり減ってしまう。
そういったシーンでは「スポーツパッド」を使う必要がある。「ロースチール」や「セミメタリック」「メタリック」などスチール繊維を主材とするブレーキパッドだ。金属の含有率が高いため、耐熱性・耐摩耗性は増すが、使用すると摩擦によってブレーキパッドとローターの双方から金属粉が発生するため、ホイールが汚れやすくなる。
サーキットを頻繁に走るのあれば、「スポーツパッド」の中でも金属の含有率が高い「メタリック」系のパッドを使用することになる。高い制動力や耐熱性を得る代わりに、ブレーキパッドとローターにさらに強い摩擦が発生するため、結果として大量の金属粉が発生し、ホイールが汚れることになるのである。
ちなみに、欧州車(主にドイツ車)はホイールが汚れやすいとよくいわれる。これは高速道路や幹線道路での平均速度が日本より高いため、ブレーキの制動力を優先した設計となっているからだ。
ホイールが汚れるとしても、また頻繁なローター交換によりお金がかかるとしても、200km/hから安全に止まれるブレーキ性能が備わっていることを重要視しての設計だ。
コーティングのほか、汚れにくいブレーキパッドに交換するのも一案
ブレーキダストは金属粉であるため、一般的なカーシャンプーや洗剤では落ちにくく、専用の「ブレーキダストクリーナー」や鉄粉除去材を使用すると、汚れが落としやすくなる。汚れが落ちにくいからといってスチールたわしでゴシゴシ擦ったり、研磨剤の入った洗剤を使用したりするのは、ホイールを痛めることになるので避けてほしい。
また、「ホイールコート」などでホイールを強力な皮膜でコーティングしておけば、水で洗い流すだけでブレーキダストを簡単に洗い流せるのでお薦めだ。コーティングの材質やホイールのサイズにもよるが、自動車整備工場などに頼めば1万円から5万円ぐらいで施工できる。
欧州車は前述したように汚れやすいため、気になる方は、施工してみるのも良いだろう。尚、効き目を長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが必要なので、将来のメンテナンス費用も見込んでおく必要がある。
ブレーキダストの発生を抑えたいなら、前述したようにスチールを含まない「ノンアスベスト材」を使用したブレーキパッドへ交換するのも一案だ。輸入車では車種別に低ダストブレーキパッド/ローターの社外品が用意されている場合があるので、洗車の度に大変な思いをしているのであれば検討してみる価値はある。
せっかく車体が綺麗でもホイールが汚れていたらクルマの印象は台無し。ブレーキダストは放っておくと簡単には落ちない汚れになってしまうため、早めの洗車やコーティング、パッド交換などで手を打っておくことをお薦めする。
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