■キズは下取り金額にどれほど影響する?
では、キズが鋼板部分まで達していた場合はどうか。
「鋼板の地肌が見えるほどの深いキズは、凹みもかなりのものでしょうから(笑)、見た目もキビシイですし、そのまま放置すればいずれサビ始めます」
「でも、金属がむき出しにはなっておらず、ボディカラーの下のグレーっぽい下地で止まっていれば、コンパウンドで磨いてタッチペンしておけば、サビが侵食することはまずありません。本人が気にならなければ、そのままでも大丈夫です」(板金業者O氏)
いやいや、問題はココロなんだよ、ココロのキズなんだよ! それに下取りだって下がるでしょ!?
「たとえば修理に10万円かかると査定されたとしても、それで下取りや買取り金額が10万円まるまる下がることはまずないです。下取り業者は、我々板金業者を叩いて叩いて叩きまくって直させますから。ぶっちゃけ、個人のお客さんの半額くらいしかもらえません。泣きたいですよホント(笑)」(同O氏)
下取り業者は、安く直せることを見越して査定額をはじいてくる。ディーラーにおけるお殿様下取りだとそうはいかないかもしれないが、下取り業者は激しい競争にさらされている。小キズでガッツリ査定額を下げていたら、オマンマの食い上げなのだ。
■下取り業者が語る「無理して直す必要ない」理由とは?
そのあたり、下取り業者当人にも話を聞いてみた。
「トータルで損をしたくないということなら、小キズは無理して直さないほうがいいです。我々は皆さんより絶対に安く直します。特に年式がある程度古くなっているクルマの場合、小キズなんてまったく問題にならなかったりします」(下取り業者G氏)
え、それはナゼ? さすがに少しは下がるでしょ?
「車齢7年を越えたあたりから、中古車は輸出される割合がかなり高くなるんです。輸出先では機関の健全性が第一で、キズなんて現地で激安で直せるし、その必要もなかったりします。逆に直してあるとマイナスになることもあります」(同G氏)
直してあるとマイナスって、どういう意味!?
「たとえば、保険を使ってキズを直すとするじゃないですか。保険修理の場合、すぐパネル交換しちゃいます。特にディーラーはその傾向が強いですね。でも、パネルを交換してあると、それで準事故車扱いになる国があるんです。日本ではフレームまでイッってなければ事故車扱いになりませんけど、基準が国によって違うので……」(同G氏)
ガーン!! 直したほうが価値が下がるなんてショック!!
「もちろん、キズの程度にもよりますが、タッチペンで我慢したほうが得にはなります。それが無理なら、できれば板金修理で止めたいところですね。パテ埋め再塗装で事故車扱いになることはどの国でもないですし、きれいに直っていれば、マイナス査定もごく小さいです」(同G氏)
愛車が宝物という感覚の人の場合、タッチペンだけで我慢というわけにもいかないだろう。しかし、クルマを“愛する実用機械”くらいの感覚で捉えていれば、我慢できるかもしれない。損得を考えるのであれば、「小キズは男の勲章さ!!」くらいの、おおらかな気持ちで接したいものである。
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