■5チャンネルだけではない ユーノス800不遇の3つの理由
いろいろと揶揄されることも多いバブル期のマツダ車ですが、少なくともユーノス800(マツダ ミレーニア)は、さまざまな意味での意欲作であり、フラッグシップの名にふさわしい一台であったことは間違いありません。
そんなユーノス800(ミレーニア)が、人気薄なまま廃番となってしまった理由。
いくつかの理由が考えられますが、まずひとつ確実にあるのは「5チャンネル制作の弊害」でしょう。
5つの販売チャンネルでそれぞれ違った車種を販売するため、当時のマツダは「車名と顔が違うだけ」みたいな姉妹車を乱発していました。
あまりにも似たようなモノが多かったためユーザーは覚えられず、最終的には「もう覚えなくてもいいや(どうせみんな同じようなものなのだから)」みたいな心持ちになっていきました。
そのため「渾身の作」であったはずのユーノス800も、「その他大勢」のなかに埋没していったのです。
もうひとつの理由は、いわゆる「RVブーム」の影響でしょう。
ユーノス800がデビューした1993年といえば、鉄壁だったセダン人気の凋落が微妙に始まり、それに代わって、当時の言葉で言うRVが台頭してきたタイミングでした。
そんな世相にあっての「フラッグシップセダン」は、仮にマツダが5チャンネル体制を敷いていなかったとしても、販売は苦戦していたことでしょう。
そしてもうひとつの理由は「早すぎた」ということだったのだと思います。
2021年の今でこそ、高級車であっても2Lぐらいの直列4気筒エンジンを搭載する=ダウンサイジングコンセプトを適用するというのは当たり前になっています。
しかし1990年代前半は、世の中にそんなコンセンサスはいっさいなく、「高級車といえば、でっかいエンジンでドーン!と豪快に走る」みたいなものが求められ、そういったヒエラルキー(小さいエンジンよりデカいエンジンのほうがエラいみたいな感覚)にこそ、人々はお金を払っていたのです。
そんな時代に「小さなエンジンの高級車」は、やはり理解されづらかったのでしょう。
このようにして討ち死にしたユーノス 800ならびにマツダ ミレーニアではありましたが、同車が量産車として世界で初めて搭載したミラーサイクルエンジンはその後、同社のデミオや、トヨタ プリウスなども採用することになります。
ユーノス 800の挑戦は決して無駄ではなかった――と、そう思いたいところです。
■ユーノス 800 主要諸元
・全長×全幅×全高:4825mm×1770mm×1395mm
・ホイールベース:2745mm
・車重:1520kg
・エンジン:V型6気筒DOHC、2254cc
・最高出力:220ps/5500rpm
・最大トルク:30.0kgm/3500rpm
・燃費:9.5km/L(10・15モード)
・価格:368万5000円(1993年式 MC-V)
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コメント
コメントの使い方このミレーニアのデザインを日産セフィーロがパクったと言われてましたね。