アルファード驚くほど売れてたのに……! それでも納期がそれほど延びていないのはなぜ?

■納期の長期化は受注の集中によるものばかりではない

 ただ、アルファード以外では、トヨタ車のなかには深刻な納期遅延となっているモデルが目立つ。そのなかでも納期遅延が顕著なモデルとしてよく挙げられるのがハリアーとヤリスクロス。この2車では予定納期が若干異なること以外に、納期遅延の状況も異なるのである。

 ヤリスクロスはいまのところ、納車まで“半年待ち”というのが販売現場で聞く話。このままだと納車が2022年へ越年してしまうことにもなりそうだが、納期は今後、若干でも短くなっていくだろうとの話も販売現場で聞く。ちなみにヤリスクロスの場合は全バリエーションに関して半年待ちとなっている。

GRヤリスを除くヤリスシリーズも生産ラインを増やして増産対応中。ただし、同じ工場で新型アクアも生産開始となるのでそのヒット次第により、納期にも再度影響が出そうだ
GRヤリスを除くヤリスシリーズも生産ラインを増やして増産対応中。ただし、同じ工場で新型アクアも生産開始となるのでそのヒット次第により、納期にも再度影響が出そうだ

 ヤリスクロスの月販目標台数は4100台であり、2020年8月末の正式発売後1カ月の累計受注台数は約4万台であった。つまり、発売1カ月後の時点で月販目標台数の約10カ月分をすでに受注していたことになる。

 そのなかで、発売1カ月後以降もかなり大量の新規受注が積み上がっていったのである。その結果、多少の増産をかけたとしても、いつまでも大量のバックオーダーを抱えたままとなり、いまの納車半年待ちとなっているのである。

 「今年の後半に向かい多少納期が早まりそうだ」とは、販売現場のコメントだが、これも新規受注がさすがにペースダウンしていくものとし、バックオーダーの消化が今後進んでいくものと、セールスマンが先読みした結果のコメントと考えていいだろう。

 一方のハリアーは、すでに現行型が発売となってから1年が経過するなかで深刻な納期遅延が続いているのだが、それはヤリスクロスのように全バリエーションではなく、グレード間や装着するオプションなどで、同じハリアーでも納期遅延の状況が異なっているのである。

 業界の事情通は「ハリアーで目立って納期遅延傾向にあるのは、ハイブリット 4WD の最上級グレードであるZ レザーパッケージに、“調光パノラマルーフ”、さらに外板色でプレシャスブラックパールを選んだ場合と聞いています。そもそも本革シートで納期がかかり気味なのに加え、調光式パノラマルーフがさらに納期遅延に拍車をかけるようになっています」と説明してくれた。

最上級グレードやオプションは手の込んだ装備品が多く、もともと受注生産の色彩が強いグレード。しかしオーナーさんの所有欲を満たすものであるので、待つ人は待ってでも購入されるらしい 
最上級グレードやオプションは手の込んだ装備品が多く、もともと受注生産の色彩が強いグレード。しかしオーナーさんの所有欲を満たすものであるので、待つ人は待ってでも購入されるらしい 

 新型コロナウイルス感染拡大以降、新車販売の世界でも“プチ贅沢”ではないが、それほど高額イメージのないモデルで最上級グレードをオプションテンコ盛りで購入するといった傾向が目立っている。

 そのため、当初はそれほど選択されないだろうといったグレードに、さらに装着頻度が少ないと思われたオプションまで頻繁に選ばれるようになり、結果として、顕著な納期遅延を見せるのはごく一部の仕様となるケースが目立ってきている。

■メーカーの単なる需要読み違いというイタいケースもたまにある

 また、量販グレードが当初の予測をはずれてしまい、納期に時間がかかるといったケースもある。

 いま時は正式発売前に“予約受注”として、発売数カ月前から熱心な販売促進活動を多くのメーカー系ディーラーが展開している。これは発売直後に「受注台数が〇万台突破!」などと人気車ぶりをアピールしたいということもある。

 しかし一方で、予約受注を可能な限り多く積み上げ、実際消費者はどのグレードを多く選ぶのか、そして人気のボディカラーや選択頻度の高いオプションはどれなのか、などのデータをとり、本格生産に入る時には、予約受注段階での量販グレードで人気のボディカラーと装着頻度の高いオプションを装着した仕様の生産割合を増やして、より効率的な生産を進めようとしているのである。

 しかし、時としてその予測が裏切られることがあるのだ。平時では予約受注や発売直後では、上級グレードがよく売れ、その後中間グレードが売れ筋になっていくことが多い。

 このような傾向は当然メーカーも承知しており、このような傾向も加味して量産グレードを絞り込んでいくのだが、あくまで予測なので稀だが外してしまうこともある。

 ただ、すでにその予測に基づいて生産計画を立てているので、部品調達なども当然その計画に基づいて発注している。そのため、予測が外れたとしても軌道修正というのが容易にできず一部グレードだけ納期遅延が顕著になるということになるのである。

 これは、4月末に発売された新型ヴェゼルにおいて、最上級グレードの「PLaY」だけが1年待ちになっているのが事例として紹介できるだろう。量産グレードとしては「Z」としたようだが、予測に反してPLaYの受注が多くなってしまい、パノラマルーフの供給体制なども影響しているようだが、PLaYだけ納期遅延が顕著となっている。

発売直後にすてに1年待ちとアナウンスされたヴェゼル「PLaY」。専用装備が魅力的なのか、売れ筋と想定した「Z」を差し置いて受注が集中。読み違いによる混乱が見受けられる
発売直後にすてに1年待ちとアナウンスされたヴェゼル「PLaY」。専用装備が魅力的なのか、売れ筋と想定した「Z」を差し置いて受注が集中。読み違いによる混乱が見受けられる

 また最近流行っている、“2トーンのボディカラー”では、ルーフ部の塗装作業が“職人仕事”になるので納車に時間がかかるといったことも聞いたことがある。

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