■ノートよりワンランクアップした操安性と装備
走行安定性も高まった。ノートに比べて全幅を40mm広げたので、トレッド(左右のホイールの間隔)も20mmワイドになり、4輪が路面に踏ん張る。タイヤサイズも、ノートは15インチ(185/65R15)だが、ノートオーラは17インチ(205/50R17)だ。路面をつかむ性能が全般的に向上した。
カーブを曲がる時も、ノートオーラはノートに比べて車両がステアリング操作に忠実に反応するから、内側へ向けやすい。曲がりくねった峠道を走る時も、ノートオーラであれば旋回軌跡を拡大させにくい。
さらに危険を避けるために、カーブを曲がっている最中にアクセルペダルを戻したり、中途半端にブレーキペダルを踏んだ時も、ノートに比べて後輪の接地性が高く保たれる。運転の難しい状態に陥りにくく、安定性を幅広く向上させた。
その代わり乗り心地は、ノートと同等か、それ以上に硬い。ノートオーラはスポーツモデルではなく、質感を大切にするプレミアム感覚のコンパクトカーだから、操舵感や峠道での曲がりやすさはもう少し穏やかに抑えていいだろう。
そこで生じた余裕を乗り心地の向上に費やしたい。ノートオーラには、もっと柔軟に伸縮する足まわりが相応しい。
ノートオーラは装備も充実させた。
ハイビーム時に対向車などの眩惑を抑えるアダプティブ機能を備えたLEDヘッドランプ、ドライバーの死角に入る後方の並走車両などを知らせる後側方車両検知警報、車両の周囲を上空から見たような映像で表示するインテリジェントアラウンドビューモニター、液晶表示のインテリジェントルームミラー、アルミホイールなどを標準装着する。
これらの装備は、ノートの場合、最上級のXでもすべてメーカーオプションになる。
■ノートとの価格差は実質16万円!!
そこでノートオーラの損得勘定を考えてみたい。ノートオーラG(261万300円)の価格は、ノートX(218万6800円)に比べて42万3500円高いが、先に挙げたノートオーラに標準装着される装備の価格換算額が約26万円に相当する。
つまり価格差の約42万円から、装備差の26万円を差し引いた16万円が、ノートオーラで上級化された外観や内装、モーターの動力性能、走行安定性、静粛性などの対価になる。
ノートオーラは乗り心地に改善の余地を残すものの、プレミアムコンパクトカーと呼べるだけの上質感を備えるから、その価格が正味で16万円に収まれば割安だ。
そしてノートオーラのなかでも、特に買い得なのが、Gに用意されたレザーエディションだ。シート生地が本革になり、後席センターアームレストも加えて、Gと比べた時の価格上昇を8万9100円に抑えた。
ノートにも本革シートが用意されるが、セットオプションに含まれ、複数の装備と併せて装着される。そこで本革シートと後席センターアームレストの価格を割り出すと、ノートの場合は約14万円だ。ノートオーラのレザーエディションは8万9100円の価格アップだから、ノートに比べて約5万円安く装着できる。
以上のようにノートオーラでは、内外装や運転感覚などの質感が正味16万円で向上して、本革シートも割安に装着できる。装備の充実した上質なコンパクトカーが欲しいユーザーにとって、ノートオーラはノート以上に買い得だ。
この背景にはノートオーラの売れゆきを伸ばしたい意図がある。先代ノートではe-POWERの人気が高く、開発や生産のコストも低減させたいことから、現行ノートはノーマルエンジン車を廃止してe-POWERのみにした。
ただし先代型では、ノーマルエンジン車がノート全体の25~30%は占めており、これを単純に廃止すれば売れゆきの低下を招く。そこで新たにノートオーラを加えた事情もある。
ノートオーラの追加でもコストアップを招くが、ノーマルエンジンやCVT(無段変速AT)を別途開発する必要はない。そして低価格のノーマルエンジン車ではなく、価格の高いノートオーラを加えるなら、効率も優れている。このような背景もあり、ノートオーラは売れゆきを伸ばすべく、価格を割安な設定にした。
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