ソフトウェアのリコール対応も迅速に
また、リコールに関しても、ソフトウェアであれば、OTAの普及によって容易になります。従来は、自動車メーカーが販売会社に更新版のソフトウェアを配布し、販売会社がお知らせを配布。その後、ディーラーへの入庫調整をする、といった対応が必要ですが、OTAがあれば、自動車メーカーがオンラインで更新プログラムを配布することでクルマのアップデートが可能。販売会社やユーザーの手を煩わせることなく、クルマの品質・信頼性を維持できるのです。
あるとき、筆者の所有する30系プリウスが、ブレーキ制御のソフトウェアのエラーでリコールを受けました。しかし、プリウスの販売規模が巨大すぎるためか、販売店との調整がなかなかつかず、何か月もの間ブレーキに不安を抱えて運転するはめに(修理完了まで8カ月かかりました)。
その後も複数のリコールがありましたが、OTAがあれば、迅速にアップデートができたのに、と考えさせられる出来事でした。
高額車を中心に続々と導入
既にBMWでは、一部地域で導入されている「BMWリモートソフトウェアアップグレード」というサービスにて、既納車に対するソフトウェアのアップデートをOTAによって行っています。現バージョンはOS7ですが、これがOS8にアップデートすると、先進運転支援の機能を更新することができます。
メルセデスベンツでも、OTAによる自動運転機能の追加や、その他機能のアップデートを行うサブスクリプションサービス(有料課金制)を、2024年から導入することを発表しています。
他にも、フォルクスワーゲンの「I.D.シリーズ」や、日産の「ARIYA」なども、OTAの導入を発表済です。今後も、主要な自動車メーカーでは、順次OTAの採用が進むものと予測されます。
OTAによって「ソフトウェアが常に最新」に
筆者のスマホはちょっと古い機種なのですが、OSが毎年アップデートされるので、常にリフレッシュした気持ちで過ごしています。アプリが使いやすくなったり、操作性が向上したり、新しいソフトウェアが追加されたりと、外側は古くても中身は常にフレッシュな気持ちでスマホを使用することができています。
今後は、クルマもスマホと同じようになっていくものと考えられます。OTAによるアップデートでクルマの品質を維持・改善し、ユーザーにあったカスタマイズもできるようになれば、より快適なカーライフを送れるようになるのでは、と期待しています。
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