「OTA」という言葉をご存じでしょうか。OTAとは、「Over the Air」の頭文字で、データの送受信を無線通信で行うこと。身近なところでいえば、スマートフォンなどで、ファームウエアアップデートを無線通信で行ったりしますが、これが「OTAアップデート」、略して「OTA」といっています。
いまクルマ開発でも、このOTAの普及が進み、クルマ開発の流れが大きく変わろうとしています。我々ユーザーにとっても大きなメリットのあるOTA。OTAの普及によって何が変わるのか、考えていきます。
文:エムスリープロダクション、橘一徳
アイキャッチ写真:AdobeStock_ SergeyBitos
写真: NISSAN、写真AC、AdobeStock
【画像ギャラリー】クルマにOTAが普及することで、できるようになること
クルマのリセッティングが容易に
前述したように、OTAとは、「無線通信を経由してデータの送受信する技術」のこと。
クルマに関していえば、コネクティッドによって、クルマ同士やその他の外部との通信ができることのほか、ナビゲーションのアップデートや、不具合のあったプログラムの書き換えなどのソフトウェアのアップデートも、OTAによって、販売店にいくことなく可能となります。
トヨタでは、MIRAIやレクサスLSで、最新の地図情報を常時アップデートするため、OTAの導入を進めています。今後、自動運転技術がさらに進化する中では、常に最新の地図情報がクルマに登録されていることが、より重要になります。地図情報が古いままだと適切な道案内ができず、クルマが遠回りしてしまったり、目的に着けなかったりすることが考えられるためです。
地図情報だけではありません。かつてボルボの40シリーズでは、エンジンやトランスミッションを制御するソフトウェアの書き換えを、オプション(約19万円)で用意していました。
このオプションによって、40シリーズを同社のスポーツモデル「ポールスター」並のエンジンマッピングにすることも可能であり、加速性能を容易に向上させることができたのです。(法規変更に伴い、日本では本サービスはすでに終了)
ほかにも、自動運転機能や車載AIアシスタントなどのソフトウェアの更新も、OTAの普及によって可能となります。
ご存じの通り、近年のクルマには、さまざまな電子制御が搭載されているため、搭載されているソフトウェアも多くあります。OTAは、それらのソフトウェアを通信によって書き換え、クルマのリセッティングを容易にする技術として期待されているのです。
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