■「ホームランか三振か」の魅力?
時代はややさかのぼるが、1992年にデビューしたCR-Xデルソルもこれまでにないクルマだった。
電動トランストップというハードトップの導入で200kgの重量増となり、先代までの「小型軽量でハイパワーウエイトレシオ、ショートホイールベースと極端なフロントヘビー傾向による超クイックなハンドリング」を好んだ硬派な走り屋の支持を失い、新規ユーザーもバブル崩壊もあってなかなか捕まえることができず、当初の月間販売計画台数1500台(年にすると1万8000台)に対し、7年間のモデルサイクルを通じて1万6000台しか売れなかった。
2000年代に入ってからは、スクエアで無骨、センターピラーレスの観音開きドアが特徴のSUV・エレメントや、3人掛けシートが2列という謎レイアウトのミニバン・エディックス、オデッセイですらトールサイズにならざるを得ない時代に、あえてセダン並みの車高の6人乗りミニバンとして世に出されたジェイドなど、「人とは違うことにトライしたけどうまくいかなかった」ホンダ車はたくさんある。
このように「これまでになかった」クルマをクリエイティブに開発しては発売し、成功するものもあれば失敗するものもあるという「ホームランか三振か」的なホンダ。
すでに存在する「既知」なものを改善した新しいクルマを売るほうが、今までなかった「未知」なクルマを売るよりも簡単だが、ホンダには「これまでにない」クルマを世に出してきたチャレンジャーとしての歴史がある。2040年には全車EVとFCEV化を目指す公約を掲げているが、失敗は成功のもと。これからもホンダには、運転して楽しい、そして今まで誰も思いつかなかったような斬新なEVやFCEVにチャレンジしていってもらいたい。
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