■商用車としての長所が突出するNV100クリッパー
日産にはNV200バネットという商用車もあるが、これはNV100クリッパーやNV350キャラバンのようなエンジンを前席の下に搭載するキャブオーバーバンではない。乗用車用の「Bプラットフォーム」を使う前輪駆動車だ。
そのためにNV200バネットの荷室長は1900mmで、小型車でも軽商用車のNV100クリッパーに比べて若干短い。こうなると日産の商用車は「手軽に使えて経済的な軽商用車のNV100クリッパーか、大容量の荷室を備える本格的なNV350キャラバンか」という二者択一に絞られる。
そしてセールスマンが述べた通り、法人ユーザーは複数の商用車を使うことが多い。1人に1台の割合でクルマを使う世帯と同じで、クルマの税金を抑える必要が生じるため、軽商用車が好まれる。
販売店の出店状況も影響を与えた。スズキやダイハツの販売店は、軽自動車が普及している地域に多く、都市部には少ない。そうなると都市部の法人が商用車を購入する場合、販売店が多いのはトヨタ、ホンダ、日産になる。
この3メーカー内、トヨタは人気車のハイエースに力を入れるので、ダイハツ製のOEM軽商用車はあまり取り扱わない。タウンエースバンはも用意されるが、インドネシア製とあって納期が長いこともあり販売は低調だ。そうなるとトヨタの商用バンは、実質的にハイエースに特化される。
■OEMがあればこその軽自動車市場
ホンダは以前はアクティバンを扱ったが、今はN-VANに切り替わった。N-VANは左側のピラー(柱)をスライドドアに内蔵して、前後ともに開くと開口幅が1580mmとワイドに広がる。後席に加えて助手席も畳めるから、運転席以外をすべて平らな荷室に変更することも可能だ。
その代わりエンジンをN-BOXと同じくボディの前側に搭載するので、荷室長は1510mmに留まる。NV100クリッパーの1910mmに比べると、N-VANの荷室長は400mm短い。
そうなると荷室長に余裕のある軽商用車が欲しい都市部のユーザーは、必然的にNV100クリッパーを選ぶ。
OEMのNV100クリッパーが好調に売られて、日産製のADやNV200バネットが低調なのは皮肉な話だが、都市部のビジネスユーザーにとって豊富な日産の販売店からNV100クリッパーを買えるメリットは大きい。
ここまで堅調に売られるなら、軽商用車もデイズやルークスのように三菱と共同開発すれば良いと思うが、薄利多売だからそれは難しい。スズキやダイハツが軽商用車の開発や製造を行えるのも、他社に供給して売れ行きを伸ばせるからだ。つまり軽商用車は、OEMがあるからこそ、ビジネスとして成立している。
【画像ギャラリー】軽自動車OEMでは販売数最多!! スズキ エブリイを祖とするNV100クリッパーの兄弟姉妹たちをご紹介!!
コメント
コメントの使い方渡部陽一路さんらしいね。日産NV100の販売が好調と書いてあるので、さぞ本家のエブリィより売れてるのかと思いきや、トヨタのOEMに対してだった。ぜんぜん市場の情勢見てないねこの人。
確かにエブリイのOEMですが、エブリイはパートタイム四駆であるのに対して、クリッパーリオはフルタイム四駆ですよ!アトレーのようにデフロック付のパートタイムは存在価値があるが、オープンデフのパートタイム(エブリイ)よりフルタイム(クリッパーリオ)の方がいい思います。