ベースとなるモデルを他社に供給し、供給先のブランドとして販売されるクルマをOEM(original equipment manufacturer)と呼ぶ。
ベースとなるモデルが華やかに活躍する陰で(いやむしろベースモデルが活躍すればするほど、と書いたほうが正しいかもしれない)、OEM車はなかなか日の目を見る機会はすくないように思う。
今回はそんなOEM車たち10台にスポットライトを当てる!
※本稿は2021年3月のものです
文/ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年4月26日号
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■エスクード カムリ タント…って姉妹車あったっけ?
兄弟車と姉妹車の厳密な定義はないものの、今回は便宜上、兄弟車は同じメーカー内、姉妹車は他社で販売されたOEM車というルールにさせていただきました。ご了承ください、ぺこり。
で、この姉妹車というヤツ、大変存在を忘れやすい。なにせ名前が違うだけだから、違いに思いを巡らせる意味がない。
自動車ライターだって、わざわざ取り上げる機会は滅多にない。そりゃ忘れるなってほうがムリじゃ!
そんななか、ダイハツがOEMでトヨタに供与する姉妹車は、販売力の強烈な差により本家より売れる。ライズはロッキーの4倍売れている。よって忘れない、普通は。
しかし、なぜかキャミは忘れてしまった。本家ダイハツのテリオスは忘れてないけどキャミは忘れた。なぜだろう……。だいたいキャミって何?
なぬ、「カジュアル・ミニ」の略じゃと!? なんじゃそりゃー!
同様にストーリアはよく覚えてるけど、デュエットは忘れがちだ。ストーリアにはX4もあったからだろうか。
で、ストーリアとデュエット、どっちが売れたのか。どうでもいいけど、なんだか凄く気になってきた。
スパーキーはどうでもいいです。アトレー7とどっちが売れたのかも特に知りたくないです。忘れたままにさせてください。ごめんなさい。
ダイハツ供与のトヨタ販売車ですら、このていたらくだ。他は推して知るべし。名前だけだから実態がないに等しい。そりゃ忘れるわな。
オッティ。オットットみたいな、いい名だ。初代eKの姉妹車だ。でも次からデイズになった。とっとと忘れるところだった。
ピノも名前がかわいいわ。ピノは6代目アルトなの。この1代限りで消滅したの。でもマツダの5代目キャロルとも姉妹なの。なんて複雑な家系でしょう。
そして、ホンダのSUV群。ジャズはミューでホライゾンはビッグホーン。これも忘れていいですか?
マツダは姉妹車の宝庫だ。恐ろしいほど複雑な家系図ができあがる。なかでも記憶からこぼれがちなのが、プロシードレバンテだ。
プロシードマービーじゃなくレバンテ。マービーとレバンテはまるで違う。だってレバンテの正体はスズキのエスクードなんだから!
軽の開発から撤退したあとのスバルの軽も、よくわからない。そこにトヨタの登録車も加わるから、さらに混沌。
そしてトドメが、トヨタからダイハツに供与された登録車たち!
忘れる以前に正直、路上で見たことないッス。努力不足か? 死ぬまでに一度実物を拝みたい。
(※編集部注/原稿本文内では調子に乗って筆が滑りまくり、「忘れた知らない」と不躾に書いてしまいましたが、すみませんもちろん嘘です。どのクルマもしっかり覚えており、だからこそこうして取り上げることができました。姉妹車も兄弟車も、自動車メーカー、販売店、ユーザー、それぞれの思惑と希望と都合が合致して生まれたものであり、なによりこうしたバラエティ豊かなクルマが日本車市場にたくさんあったことで、わたくしども自動車専門メディアはそれを肴にして大いに楽しませていただいております。それゆえに、世の中の誰が忘れても、わたくしどもはこうしてたまに、往時を偲んで企画化してゆきたいと考えております。すべてのクルマに愛を!)
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