■自動車業界はIT業界と同じになる?
ボルボ・カー・ジャパンも変革を進めている。同社では、今後、販売するEVについてはオンライン販売を基本とする方針であり、販売店を経由した従来型セールスからの脱却を目指している。納車や整備などの付帯業務があるため、販売店網は維持するものの、クルマの売り方そのものが変化するのは間違いない。
トヨタの改革にはディーラー同士を競わせ、淘汰するという目的もあるが、背景にあるのは価値観の多様化という社会構造の変化である。ボルボはまさにテスラと同じ戦略であり、極論すればセールスマンは不要という考え方に基づいている。
当然のことだが、こうした新しい市場環境と大規模モーターショーの相性は良くない。今後は、多様化した消費者のニーズにうまく対応できる形での開催が模索されるだろう。
実はIT業界では、一足先にこうした動きが進んでいる。IT業界も自動者業界と同様、大規模な見本市が世界各地で開催されていたが、産業構造シフトの震源地がIT業界だったこともあり、他の業界よりも早く変化が到来した。
IT業界では、大規模な見本市が一気に消滅する一方、小規模な体験イベントはむしろ活発に行われている。自動車業界は基本的にIT業界を後追いしている図式であり、IT業界の現状というのは、今後のモーターショーのあり方を考える上で、大いに参考となるだろう。
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