ダイハツ ウェイク
2014年はライバル社のスズキがハスラーを登場させ、メガヒットを記録していた。同じ年にダイハツはウェイクを登場させた。
軽SUVが人気になり、ハスラーの爆発的ヒットから、タントをSUVテイストにしたウェイクも大ヒットするかと思った。しかし、ウェイクのSUV感は想像よりも薄く、タントとの違いも明確に見えづらくなってしまう。
ウェイクは、登場前の期待とは裏腹に、ハイトワゴンにも軽SUVにもなれず、失速を余儀なくされる。
同社のタントよりも「上を行く」というコンセプトで、ウェイクとなったようだが、販売台数はタントの下を行く存在になってしまった。その後ダイハツでは、タフトが誕生し、ウェイクの行き場は、ややなくなってしまったようにも見える。
マツダ MX-30
2019年の東京モーターショーでお披露目されたMX-30。マツダ初のEV量産モデルと聞き、ショーモデル時点で、これは売れそうなクルマだと感じた。
正式発表時も、エクステリアデザインは、ほとんどショーモデルのままだった。しかしパワートレインはe-SKYACTIV G 2.0のみとなり、EVの登場は2021年1月と大きく遅れてしまう。
話題性が失われ、ショーモデルの勢いは失われてしまった。CX-30と比べると、強すぎる個性が、ユーザーを選ぶ形にもなってしまっている。
CX-3やCX-5が、好調な販売を記録していただけに、MX-30も売れると思ったのだが、他と比べて、少々アクが強すぎたようだ。EVの登場がもう少し早ければ、風向きは変わっていたのではないだろうか。
ホンダ 5代目オデッセイ
多人数乗車=ワンボックスという常識を打ち破り、ミニバンというカテゴリーを代表するクルマとなったオデッセイ。初代から3代目までは、新しいコンセプトが受け、大人気となったが、4代目でライバルのスライドドアミニバンに対して後れを取ってしまう。
そこで、5代目オデッセイは、走りの良さを残しつつも、ルーフを高くし、スライドドアを採用した。低ルーフとヒンジドアという、オデッセイの特徴を2つ捨てる形で、ライバルに再び挑戦状を叩きつけたわけだ。
人気ミニバンと同じ装備となり、5代目オデッセイは「鬼に金棒」と思われていたが、既存のユーザーからは「こんなのオデッセイじゃない」と敬遠されてしまう。結果、販売台数は回復しなかった。
そして、2021年末、狭山工場の閉鎖に伴い、オデッセイの名前も消えてしまう。「らしさ」が消えたオデッセイは、ラインナップからも姿を消す。
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メーカーは販売店やユーザーの声に、しっかりと耳を傾けて、売れるクルマを作っている。しかし、なかには経験則やニーズがハマらないクルマもある。
この傾向は、先代を超えようとして開発されたクルマに多い。単純なクルマの出来も重要だが、時には脈々と受け継がれた歴史や個性を、引き継ぐ潔さも大切だろう。
売れると思ったのに売れなかったクルマには、歴史の1ページを少々読み違えた、慌て者が多く存在するようだ。
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