■従来までのETCが使えなくなる?「2022年問題」はどうなった
一時期話題になっていたのが「ETC2022年問題」だ。簡単に言うと、電波法関連法令の改正により2022年12月1日以降、旧規格のETCの一部が使えなくなるという問題である。
電波を管轄する総務省によれば、不必要な電波(スプリアスと呼ばれる)低減するためにWRC(世界無線通信会議)で通信規則を改正したことに準じてのことである。
ETCはこの改正に該当する無線機器で、旧規格のものをそのまま使うと料金収受のエラーが起きたり、最悪の場合ゲートが開かなくなる、といった可能性もあった。
しかし朗報というか、各メーカーによると、旧規格のものでも引き続き使えることが報告されており、カルソニックカンセイ製の一部機種のみ、つまり日産車で使用不可のものが数車種ある。これに関しては日産のホームページでも確認できる。
(参考)ETC車載器の新スプリアス規格対応について(リンク先)
それでも心配な部分はあるのだが、実は最新の総務省からの発表によれば、新型コロナウイルス感染症の影響で無線設備の製造や移行作業に遅れていることから前述の期限を当面の間、延長することが発表されている。
つまりのところ、この問題に関してはしばらくの間、気にせずにETCを使うことができるということだ。
■重要なのは実はこちら「2030年問題」
実は2022年問題より重要なのが「2030年問題」だ。ざっくり言えばこれは「セキュリティ対策」による新規格への対応である。
現在、実害は報告されていないようだが、話題となっている「OTA」による車両のアップデートなどは利便性は高いが外部からの侵入も許してしまう可能性もある「諸刃の剣」だ。当然無線を使うETCもこれまでのセキュリティでは将来ハッキングされる可能性も否定できない。
※OTA(Over The Air)は無線による機器のアップデート技術
ETC車載器のセキュリティ対応に関しては上記の識別マークの写真の通りだが、この機会に確認してみるといいだろう。また車載器を取り付けた(セットアップ)際の取付証明書などには「管理番号」が記載されているが、19桁の番号の一番左端の数字が「1」であればセキュリティ対応していることがわかる。
■ではETC2.0のメリットと買いのタイミングは?
そもそも料金所における料金の収受を目的としていたのに対し、ETC2.0はそれにプラスして双方向通信による各種情報が取得しドライブに生かせるのが最大のポイントだ。
最大前方1000kmの広範囲でのカバーと自車位置を元に進行方向に対しての詳細な交通情報を含めてナビ連携タイプであれば画面上に、単独仕様であれば細かな音声で案内してくれる。
もちろん、表示されるコンテンツ内容に関しては正直貧弱な部分は否めない。双方向通信は5.8GHz帯の電波を使うことで従来より大容量かつ高速の情報交換ができるが、高速道路などでの災害情報やライブカメラはまだしも音声のみの場合、情報の内容自体はもう少し細かくても良いのではないだろうか。
逆に進行方向とはいえ、はるか先の交通情報を流されても「いや、そこまで行かないから」と逆に苛立つ時もある。
ただ、ETC2.0の前に広範囲の交通情報取得の主力であった「電波ビーコン(2.4GHz帯)」は2022年3月31日でサービスを終了しETC2.0に一本化される。
現在乗っているクルマに電波ビーコンが装着されているのであれば、それは使えなくなるので、購入ならば「ビーコン機能付きETC2.0」が将来性も含め、買いのモデルとなるはずだ。
過去ETC2.0に関しては数多くの実証実験が行われてきたが、今後の鍵は前述したコンテンツの充実、特に「CASE時代」において、テレマティクス機能を搭載するカーナビよりは「ETC2.0だから」というものを増やしていって欲しい。
またこれも実証実験で行われていたが、大型スーパーやコインパーキングにおける駐車料金の支払いやガソリンスタンドの料金支払いもETC決済で行える日も必ずくるはずだ。
正直、昨今はスマホがあれば何でもできてしまう。ETCの世界が主導権を握るためにはやはり、スマホが最大のライバルになるのではないだろうか。
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