王者トヨタ独走の裏でホンダ&日産はなぜ元気がないのか

王者トヨタと対照的? なぜ最近のホンダと日産は勢いがないのか

 コロナ禍にあっても、国内自動車販売でトヨタの勢いが止まらない。自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位において、2021年1~6月の集計で10位までにトヨタ車が8台、日産とホンダが1台ずつという状況だ。15位まで広げても、トヨタ車が2台加わり、日産とホンダは1台ずつ、そしてスズキが1台入る。

 直近の7月も、1~10位ではトヨタ車が8台と変わらず、日産とホンダが1台ずつで、15位までではトヨタとホンダが2台ずつで、日産が1台と、様相は大きく変わっていない。いずれにしても、トヨタの圧勝だけが目につく。

文/御堀直嗣、写真/NISSAN、HONDA、TOYOTA

【画像ギャラリー】7月販売台数トップ10にランクインしたホンダヴェゼル&日産ノートの内外装をチェックする

高価なアルファードもバカ売れ!? 販売ベスト10とトヨタの恐るべき強さ

2021年7月の登録車車種別販売台数(日本自動車販売協会連合会データより作成)。※ヤリスはヤリスクロス、GRヤリスを含む。カローラはカローラツーリング、カローラスポーツ、旧型カローラアクシオ/フィールダーを含む

 人気車種の内容をみると、7月単月では、ヤリス、ルーミー、アクア、ライズ、ヴォクシーというように、5ナンバーを基本とする車種が10位以内に5台もある。これに、3ナンバーになったとはいえかつて販売1位を誇ったカローラがある。

 特筆すべきは、大型ミニバンのアルファードが5位前後にあり、今年1~3月には3位になった。そしてSUV(スポーツ多目的車)のハリアー人気も根強い。

 なかでもアルファードの好調さは驚異と言うしかない。近年の傾向として常にクラウンの上位にあり、上級乗用車としてアルファードが乗員にとって快適かつ上質であるとの価値が浸透しているのではないか。

トヨタアルファード(2021年7月販売台数4位:8964台/全長4950×全幅1850×全高1935mm)

 タクシーでも、JPNタクシーが普及すると、クラウンコンフォートに比べ乗降しやすく室内も広くていいという乗客の声が届いている。天井の高さや、後ろのスライドドアの利便性が、後席需要において高く評価されている一例だろう。

 ルーミーも、天井の高さと後席スライドドアを持つ5ナンバーハイトワゴンだ。ヴォクシーは、5ナンバーミニバンの主力といえる存在である。

 ヤリスの台数にはヤリスクロスを含む。ハッチバック車のヤリスとの内訳は、およそ半々か、ややハッチバック車が上回る動向で、ヤリスクロスが発売された当初はヤリスクロスが6割ほどを占めていた時もある。GRヤリスもヤリスの販売統計に含まれるが、その比率は4%ほどだ。

ホンダ&日産の10傑入りはヴェゼルとノートのみながら実態は大健闘

ホンダヴェゼル(2021年7月販売台数6位:7573台/全長4330×全幅1790×全高1580mm)

 SUV(スポーツ多目的車)の人気は堅調で、それがライズやハリアーの販売好調にも通じているだろう。ホンダでベスト10入りしたのはヴェゼルだ。

 5ナンバーハッチバックという標準的な小型車として、ヤリスがあり、アクアもそうだ。日産ではノートだ。

 ヤリスは、ガソリンエンジン車の販売がハイブリッド車(HV)を上回るが、それでも4割以上がHVで、アクアとノートはHV専用だ。全体的には小型ハッチバック車のHV指向が、ベスト10入りの一つの牽引役になっていそうだ。

 まとめると、国内において5ナンバー車に対する期待が依然として高く、そこにHVやSUV、後席スライドドア付きのワゴンを重点的に投入しているのがトヨタであり、日産やホンダもそうした車種を持っているが、選択肢が限られている。選択と集中による戦略ともいえるが、販売の総力戦でトヨタに圧倒されている。

 それでも、日産やホンダの健闘ぶりを一つ述べるなら、全国の販売店数がトヨタは5000店以上あるとされ、日産とホンダは2000店ほどといわれる。トヨタは販売拠点において、数字上2.5倍の戦力を備える。

 1店舗当たりの月販売台数を試算すると、7月のヤリスは4.64台、ルーミーは2.96台、カローラは1.84台、アルファードが1.79台、アクアが1.58台、ライズが1.50台、ハリアーが1.35台、ヴィクシーが1.27台と、トヨタ勢はなる。

 このうちヤリスの内訳は、先に述べたようにハッチバック車が約6、ヤリスクロスが約4程度の比率なので(GRヤリスは1桁パーセンテージなので暫定的に省く)、概算として状況を知るうえで試算すると、ヤリスが2.78台、ヤリスクロスが1.85台と計算できる。

 これらに対し、ホンダ ヴェゼルは3.78台、日産 ノートは3.32台という計算結果だ。販売店の少ない日産とホンダは、1店舗当たりの販売台数で健闘しており、その視点ではトヨタに大きく負けているわけではない。各新車の商品性において遜色ない存在であることをうかがい知ることができる。

 20位まで広げて販売成績をみると、日産には5ナンバーミニバンでヴォクシーの競合となるセレナや、SUVのキックスが入り込んでいる。ホンダでは、5ナンバーワゴン車のフリード、ハッチバック車のフィットが入っている。

 ほかにスズキ ソリオも顔を出す。それらも1店舗当たりの販売台数で健闘しており、販売台数の総量のみで優劣を語るのは偏っているともいえる。

 2.5倍もの販売店数を誇るトヨタは一方で、かつて販売店系列があった時代には取り扱い車種が異なるため店舗が並ぶようにして出店されてきたこともあり、いまでは互いに競争相手となってしまう不利も考えられる。

 それでも20位まで広げてみたとき、トヨタにはRAV4、プリウス、シエンタ、パッソという車名がずらりと並び、外観の嗜好や、暮らしのなかでの使い勝手、旅先での楽しみ方など、消費者個々の様々な要望に対し選択肢が幅広いのは、さすがだ。

 豊富な品揃えは、トヨタの販売店へ行けば、自分に合ったクルマのどれかに出会えるとの期待を抱かせるだろう。

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