王者トヨタ独走の裏でホンダ&日産はなぜ元気がないのか


米国市場中心の販売促進と拡大戦略がホンダ・日産の分岐点に

3代目マーチは、欧州志向の走行感覚、使い勝手の良さや多彩な車体色があり、人気があった。しかし、4代目からタイ生産に切り替え、生産を合理化したものの、顧客が離れた

 1990年代以降のグローバル化に際し、米国市場中心の販売促進と拡大戦略が、いま国内の差となっているといえるのではないか。加えて、消費者志向の見誤りもあったと振り返ることができる。

 日産は、2002年の3代目マーチで小型ハッチバック車の販売を大きく伸ばした。ルノーとの提携を活かし、欧州指向の走行感覚や、合理的な使い勝手、加えてトヨタ アクア誕生のときのようにパステル調の車体色なども豊富に設け、街に彩り豊かなマーチが溢れた。

 しかし、2010年の4代目マーチでタイ生産に切り替え、製造の合理化は果たしたが、日本の顧客の嗜好には不満の残る品質が目についた。

 アルファードの競合となるエルグランドは、技術の日産を象徴する走りのいいミニバンを強調しようと後輪駆動にこだわり、その間に快適志向の顧客を逃した。

 2010年の3代目で前輪駆動とし、室内の快適さを加えたが、アルファードはさらに航空機のビジネスクラスのような、あるいはストレッチリムジンの代替となるような室内空間を売りに、エルグランドを退けた。

フィットの基本的な価値観を19年保持し続けたことで、新型への購買意欲が薄くなり、販売が伸び悩んでいる(2021年7月販売台数13位:5300台/全長3995×全幅1695×全高1515mm)

 ホンダ フィットは、2001年に誕生し、欧州の小型ハッチバック車的な俊敏さで先行したトヨタ ヴィッツを、走りだけでなく使い勝手においても欧州流の合理性を採り入れ、瞬く間に市場を席巻した。センタータンクレイアウト構造は、シビックにも波及し、独創の存在となっていったのである。

 しかし、昨年フルモデルチェンジした4代目まで、基本的な価値観を19年保持しつづけたことが飽きを覚えさせたかもしれない。つまり、新車へ買い替える動機が薄くなったのだ。

 ステップワゴンは、ヴォクシー/ノアと競合する5ナンバーミニバンで、1990年代の初代は爆発的人気を呼んだ。ところがハイブリッド化で後れを取り、1モーター方式のi-DCDを搭載したのは2015年の5代目になってからだ。しかもi-DCDはリコールを起こした。ハイブリッド化の遅れはオデッセイにもいえ、顧客の志向と乖離してしまった。

 かつて、トヨタ車を上回ったり、トヨタ車にない新たな価値を生み出したりしてきた車種が、日産やホンダにはあった。

 しかし、日産もホンダも、拡大路線のなかで車種の絞り込みがあったり、新たな挑戦が薄れたり、ハイブリッド車の投入が遅れたりを含め、新車開発が経営の合理化のなかに飲み込まれ、あわせて、各社とも販売店系列をやめ統合する動きのなかで、圧倒的販売店数を誇るトヨタに総量でかなわなくなってきたのだと思う。

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