「高級SUV」というカテゴリーが確立されてから久しいが、その中でもひと際強いオーラを放つのが「メルセデスベンツ Gクラス」だ。メルセデスにおける乗用車ラインアップの中で唯一の本格オフローダーであり、世界中のセレブを魅了する孤高の存在。日本の芸能人の方でも、愛車としている方が多いモデルだ。
他の追随を許さない、メルセデスベンツGクラスの魅力に迫ってみよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:Mercedes-Benz
【画像ギャラリー】本格オフローダーなのに、なぜかセレブに大人気!! 魅惑のベンツGクラスの変遷
もともとは無骨でシンプルな本格オフローダー
高級SUVとしてのイメージが定着しているGクラスだが、そのルーツは「ゲレンデヴァーゲン(ドイツ語でオフロード車の意)」という名で誕生した、シンプルな本格オフローダーだ。
1979年2月にワールドプレミアされたこのモデルは、ラダーフレーム構造とリジッドアクスル、センターデフを備えたパートタイム4WDというメカニズムに加えて、簡素なインテリアかつ、スクエアな外観というパッケージで、ぱっと見は、何とも無骨。
このゲレンデヴァーゲンのコンセプトは「オンロードでも快適な本格オフローダー」。当時、すでに同様のコンセプトで登場していた、ランドローバー・レンジローバー(1970年発売)を意識して開発されたモデルでもあった。
そして、いざデビューすると、その総合的な実力が各国の軍に認められ、ドイツ連邦軍、アルゼンチン軍、オーストリア軍、スイス軍、NATO軍、国連軍と、続々と各国軍で正式採用されたことで、1981年軍用モデルの生産が開始となる。
もちろん、民生用モデルの販路もしっかりと見据えられ、1981年には前席に独立式のレカロシートをオプション設定。1985年にはフロント・センター・リアのデフロックを全車標準装備に(それ以前はフロントとリアがオプション設定)。1990年に登場した2代目となるW463型ではフルタイム4WDシステムとABS、そしてインテリアにはウッドが採用されるなど、時代に合わせた改良が加えられていた。
このモデルが、世界のセレブが注目するラグジュアリーオフローダーへの道を進み始めたのは、2代目途中である1993年に「Gクラス」と車名を変更してからだ。
ゲレンデヴァーゲンの基本コンポーネントは継承しつつ、5.0L V8エンジンモデルや電子制御デフロックを搭載し、ウォールナットのウッドフェイシアと最上級の本革シートで包まれたシート・トリムの「クラシック」グレードを設定。メルセデスAMG社がチューニングした5.5L V8やサスペンション、エキゾーストシステムを搭載した「G55L AMG」の登場も話題となった。
価格もこのあたりから1000万円オーバーの設定が当たり前となり、メルセデスの最新モデルに搭載される安全装備、豪華装備が施されるようになった。
その後、2018年には39年ぶりの全面刷新によって3代目となったが、ひと目でGクラスと分かるデザインは受け継がれた。本格オフローダーとは思えないほど先進的で洗練されたインテリアや、最新のメカニズムと安全性能が搭載され、ラグジュアリーオフローダーの地位をさらに確固たるものにしたのは、ご存じの通りだ。
コメント
コメントの使い方