■新サービスは全てのドライバーに有益
今回発表された「旅行時間表示サービス」はこれまでインターナビなどで提供されてきたものとはひと味違うサービスである。
データを収集するまではこれまでと考えは同じだが、インターナビなどの場合、渋滞回避などのメリットを得られるのは対応する純正カーナビやインターナビのスマホアプリのみであった。
しかし、新サービスは道路脇に「表示器」を設置することで通過するドライバー全てが情報を享受できるという点が最大の違いだ。
具体的には走行データを収集しサーバー側で旅行時間を計算・分析、それを表示板に出す。
旅行時間の計算はルートの起点から終点までデータ上の道路網にある「リンク」と呼ばれる固有の識別番号ごとの過去30分間の平均旅行時間を積算して配信する。
少々難しい話だが、ドライバー側のメリットとしてはサーバー側で渋滞状況を多角的に分析・可視化することで下記を実現するという。
【1】有効な迂回ルートを提供
【2】表示器に表示することで多くのドライバーへの迂回を促せる
【3】対策を実施した結果から効果の定量的分析により今後の渋滞軽減への提案等が行える
すでに実証実験も行われており、2020年10月31日~11月8日までの土日祝日(5日間)の観光シーズンでは表示器を設置し迂回を促し、地図には無い臨時の地点(目的地近くの駐車場)に誘導されることで前年では平均89分かかっていた旅行時間を平均44分、約50%減らすことに成功している。
■道路上のポットホールまで検出できる強み
今回のサービスは前述したように自治体などがメインとなる。表示器自体の価格は45万円/月額とのことだが、これはあくまでも単体のリース価格で実際これにデータ分析などによって価格は変わる。
また表示板の内容に関してもカスタマイズが可能なので単純な時間だけでなく方面矢印や図形なども用途に応じて可能とのことだ。
これまでも旅行時間表示の機能としては高速道路上では活用されていた。しかし設置には各種センサーが必要で膨大な予算もかかる。その点、今回のホンダ方式は一般道でも使える点、センサー自体が走行車両、設置や撤去が容易など全体的な初期コストは大幅に抑えられる。
また旅行時間と言えばGoogleなどでも同様のサービスが展開されているが、ホンダの場合は道路上にあるポットホール(穴)の位置までも検出し反映できる点が大きい。ポットホールは二輪車などが通過した際に転倒のリスクが懸念されるが、クルマをセンサーとすることで実際の道路劣化の状況を収集できる点が大きな差別化ポイントだ。
■既存サービスとの連携はどうなるのか
冒頭に述べたように今回のサービスは多くのドライバーに有効な情報を提供できる仕組みとして注目したい。実際、ドライバーの負担は無いので安心と言えるだろう。
一方でこれまでホンダ車ユーザーが使ってきたテレマティクスサービスとの関係はどうなるのか。前述した実証実験では回避した先の臨時駐車場の案内などは現状ナビ上では反映されてないとのことだ。
車両データをリアルタイムで表示する仕組みは日本初となる今回のサービスだが、インターナビなどを“補完”する立ち位置とのことなので、より収集したデータを企業や官庁が活用してくれれば新たなユーザーメリットも生まれてくると予想する。
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