■コースには将来のレース界を背負って立つドライバーたちが
詳細を確認しに全日本カート第4戦の現場に行ってみた。パドックは小学生や中学生のあどけない顔をした少年たちも多く、今後の日本のモータースポーツを背負う逸材が真剣にレースに挑んでいる。
そんななかに伊沢選手のテントを発見した。強豪チームはテントを幾つにも連ねた大所帯だがCUOREのテントはひとつ。擁する選手も1名のみ。普段からベストカーが取材しているトップカテゴリーとは当然ながら規模も設備も大きく違う。
「GTと違ってすごくホンワカしてるでしょ?」と伊沢選手が声をかけてくれた。かつて自身も戦った全日本カートの舞台に、今度はチームオーナーとして戻ってきたこともあり、どこか普段の姿とは違う印象を受けた。
予選、決勝と取材したレースはかなり厳しい展開になっていたが、伊沢選手は大きな声を出すわけでもなく、自チームの井本大雅選手を励ましている様子がうかがえた。
GT500ドライバーから見れば勝てない要素、ドライビング、マシンの性能などなにかしら見えているはず。しかしどこか飄々としているところは近年の伊沢選手らしい。
■二足のわらじの相乗効果に期待
担当編集としては伊沢選手がカートチームを設立したことの意義を探りに来たのだが、レース後に本人に直撃してみた。
「多くの方から引退後のセカンドキャリアを決めたのかって聞かれます(笑)。もちろんカートチームは遊びではないし、真剣勝負ですがカートはあくまでも可能性のひとつなんです。もちろん今すぐ引退するとかはないですけど、年齢的にもいろいろ考えないといけないのでね」。
将来の可能性を探っていって伊沢選手自身にもピンときたもの、そして誰かの役に立てるようなことがあれば今後も精力的に挑戦していきたいそうだ。
スーパーGTでは64号車Modulo NSX GTを駆る伊沢選手。10歳年下の大津弘樹選手とのタッグでポールポジションを獲得するなど好調を維持している。
37歳、すでにベテランの域に入っているいぶし銀ドライバーは、チーム運営とGT500ドライバーの二足の草鞋が生む相乗効果でどう進化するのか。今後にも期待したい。
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