■シビックは伝統的にMTが人気だった!
一方で、従来型で3割ものシビックユーザーがMTを選んでいたわけだが、やはりあえてシビックを選ぶ人は、根本的にクルマ好きの人が多い傾向といえそうだ。
どんなに2ペダルのトランスミッションが進化しようと、クルマ好きにとってはMTこそ本命だ。できることならMT車に乗りたいと考える人は大勢いる。
MTがますます貴重になってきたからなかで、MTの設定があり、スポーティなイメージもあるシビックは、タイプRでなくてもクルマ好きのハートを掴んでいるわけだ。
MTの人気が高いのは中古車も同様で、シビックのMTを指名買いする人が少なくないことを受けて、相場もCVTに比べてやや割高となっている。
新車の車両価格がCVTと同一とされたのは、ユーザーがトランスミッションの違いを価格に影響されることなく、本当に好みで選んでいただきたいというホンダの思いによる。
■絶対的な価格は上がっているが、実は先代と同じ価格!?
その価格について、「LX」が319万円、「EX」が353万9800円と、このクラスのクルマとしてはやや割高感があり、従来型と比べると一見やけに金額が上がったように感じるところだが、新型はHonda CONNECTに対応したナビが標準装備となったため、その分価格があらかじめプラスとなっているからだ。
やや金額ははるが利便性に優れるシステムをすべてのユーザーに使ってもらえるよう標準装備したのは、ホンダの良心と捉えるべき。それ以外にも新型シビックはさまざまな点で熟成を図っているが、基本部分での価格は従来型と変えていないという。
新型は見た目のイメージは従来型の延長上にあるが、以降のホンダ車に導入される新世代プラットフォームの「ホンダ アーキテクチャー」を初めて採用したのをはじめ多くの部分で刷新されており、走りの質も大幅に高まっていることも予想される。
中身が大幅に向上して価格が不変ということは、むしろ実質的には値下げと考えてよいほどだ。
肝心の1.5L直噴VTECターボエンジンと6速MTについても、さらに進化している模様だ。リリースによると、エンジンについてはアクセルを踏み込んだ瞬間から力強く加速する応答性と、高回転域までよどみなくパワーが増大するリニアな出力特性としたとのこと。
6速MTは、シフトレバーのショートストローク化と高剛性化により、スポーティかつダイレクト感のあるシフトフィールを目指したという。
■「爽快シビック」の実力はいかに
すでに新型の試乗レポートもちらほら出てきたタイミングで、ベストカー本誌にも掲載されているのでぜひそちらもご覧いただきたい。
が、筆者が従来型で気になっていたこととして、回すとパワフルで気持ちよいものの、同じ1.5Lターボのなかでも高出力版のシビックはオーバーシュート気味に過給されるためやや扱いにくいことや、アクセルオフにしても過給が残る傾向が見受けられ、回転落ちも遅いことなどが挙げられる。
そのあたりは開発関係者も認識していて、エミッションとの兼ね合いでやむをえなかったとしていたが、せっかくシビックのMTなのだから、多少はそこを目をつぶっても本来の走る楽しさを優先してもよかった気もしている旨を述べていた。
おそらくそのあたり新型では改善されていることと思う。また、もともとよかったシフトフィールもさらに改善されているようで、ますます操る楽しさが増していることに違いない。
おりしもホンダはそう遠くない将来に電動化を本格的に進めていくつもりであることを明らかにしたばかり。一方でこうした、タイプRではなくても、内燃エンジン車の楽しさを満喫できるクルマを忘れないあたりもホンダらしく、当面はいろいろ楽しませてくれることと思う。
まずはこうして「爽快シビック」をコンセプトとする新型シビックにもMTをひきつづき設定してくれたホンダの心意気を称えたい。
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