厳しい暑さのなか、やってはいけない寿命を短くする うっかり運転とは

■あまりの暑さで冷却系も悲鳴をあげている

クーラント液を見て、汚れがないか、減っていないかチェックしよう(nikkytok@Adobe Stock)
クーラント液を見て、汚れがないか、減っていないかチェックしよう(nikkytok@Adobe Stock)

 そして今までなんとかバランスを取ってきた冷却系が、酷暑に耐え切れずにオーバーヒートを起こすことも珍しくない。水温センサーやサーモスタット、電動ファンに組み込まれているコンデンサーなども消耗品であり、高温下での使用により耐久性に影響が出る。

 クーラントも長期使用が可能なスーパーLLCであっても、酷暑を何度も経験すれば劣化は明らかなので、早めに交換したほうが安心だ。

 初年度登録から7年以上経過しているクルマなら、出掛ける前にはクーラントの量と色、濁りなどをチェックすることも大事なことだ。渋滞中も時々は水温計や警告灯などに異常がないか、メーターで確認すべきだろう。冷却系のほったらかしもクルマの寿命を短くするNG行為なのだ。

 電装系の多くは汎用品や他車種と共用しているので、クルマによっては排気系の取り回しに近かったり、空気の流れが悪い部分に配置されてしまうこともあり得るのだ。

 それでも通常であれば走行風によって熱気が追い出されるものの、酷暑の渋滞では熱気がこもるばかりで電子部品にジワジワとダメージを与えるのである。

■エアコンの効きが悪いと思ったら要注意

エアコンの効きが悪いと思ったらまずはエアコンガスの抜けをチェックしたい。補充費用はR-134aの場合、5000~1万円ほど(JJ Gouin@Adobe Stock)
エアコンの効きが悪いと思ったらまずはエアコンガスの抜けをチェックしたい。補充費用はR-134aの場合、5000~1万円ほど(JJ Gouin@Adobe Stock)

 エアコンの使用はエンジンルームの熱気を高め、電力消費量も増やすので、様々な意味で悪影響を与えるが、乗員の安全を考えると渋滞中にも使わない訳にはいかない。そこで使い方を工夫することを考えたい。

 エアコンはクルマでも家庭用でも、夏に壊れると非常に困るアイテムの一つだが、壊れるのは決まって夏だ。なぜなら春や秋、冬はエアコンを使わないか、使ったとしての機器の負担は小さい。問題なく使えているか、使わないので壊れていることに気付かないのである。

 エアコンのコンプレッサーはエンジンで駆動されている(ハイブリッド車の一部やEVは電動コンプレッサーだ)が、定期的にコンプレッサーオイルを補充していないと潤滑不足で焼き付くこともある。また渋滞中のストップ&ゴーによる振動や高温で配管などがダメージを受けて、継ぎ手部分などから冷媒が漏れ出すこともあり得る。

 そしてエアコンは電力も消費するが、その大半はブロアファンのモーターだ。オートエアコンの制御部分はそれほど電力を使わないが、ファンを全開にするとかなりの電力消費となる。渋滞中はコンプレッサーの稼動も低調だから風量を上げると冷風の温度が上昇して、風は強くなっても涼しさはそれほど変わらないことも多い。

 したがって温度は最低にセットしても、風量は最大を選ばず、一段低い風量までを使うようにしよう。これによってバッテリーやオルタネータだけでなく、ファンの電流を制御する部分の負担も減ってエアコン関連の部品が長持ち(特に輸入車)することにつながる。

 なお、エアコンの効きが弱かったり、エアコンを作動させた時に異音や振動などを感じるようであれば、エアコンのシステムが何らかの問題を抱えていることになる。効きが弱いなら、とりあえずクーラーガス(冷媒)を補充してもいいが、パンクしているタイヤに空気を継ぎ足すようなものなので、根本的な解決にならない。

 フッ素系のエアコン添加剤を注入すると、わずかな漏れであれば止まることもある、という噂もあるが、あまり期待できない情報だ。

 エアコンの漏れを修理するケミカル剤も出回っているが、これはラジエターの漏れ止め剤のように漏れている箇所から外部に出て空気に触れることにより固まって漏れを止めるというもので、エアコンシステム内部に接着剤を循環させることになるから、コンプレッサーやエキスパンションバルブ(冷媒を放出して気化熱を作る部品)がダメージを受けることも多く、お勧めはできないケミカルだ。

 何ヵ月かでクーラーガスが抜けてしまうようなら、キチンと修理しなければコンプレッサーオイルも抜けて焼き付いてしまうことにもなり兼ねない。今やエアコンは必需品だから、そのコンディションには気を使うべきだろう。

次ページは : ■バッテリー上がりが起こるのも、ダメージ蓄積に酷暑がトドメ

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