5万kmを過ぎた頃からクルマにヤレた感じが出てきて、「コトコトガタガタ」とどこからともなく音がしてきたり、「なんか乗り心地が悪くなってきた……」と感じているオーナーの方いませんか?
とはいっても、新車に乗り替えるお金もないので、せめて乗り心地を新車時のように蘇らせたい……。そんな淡い期待を持っているオーナーの方も多いハズ。
そこで、新車の時のようにしゃっきりとした乗り心地に蘇させるにはどうすればいいのか、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説します。
文/高根英幸
写真/ベストカーWEB Adobe Stock
長く乗るとあちこちがヤレてくる
本格的な夏到来のこれから、行楽や帰省にクルマを使うとなると、心配なのが出先でのトラブル。お盆など真夏のドライブで多いのはパンクとバッテリー上がりだが、その最大の原因には部品の老朽化だが、背景にある問題も考えてほしい。
クルマのメンテナンスフリー化が進んだため、自分でクルマをメンテナンスしない(できない)ドライバーが増えたことも大きいが、 クルマの平均寿命にあたる平均車齢は、乗用車が8.60年で26年連続で高齢化していることもクルマのトラブルが多くなった理由の1つだ。
長く乗っているクルマでは当然、タイヤやバッテリーも老朽化しているが、そればかりかいろいろなところがヤレてくる。
壊れるまでその部品を使い続けることが、その他の部品にもダメージを与えたり、立ち往生や余計な出費につながることだってある。
そうならないためには定期的なメンテナンスが必要だが、壊れなければそのまま乗り続けてしまいがちな人も少なくない。
その原因の1つに、乗り続けているとクルマがヤレてきて新鮮味が薄れることから、愛情も薄れてお金を掛けたくないという心理が働いてしまうことがある。
新車の時にはカチッとした感触で、室内もシンプルで清潔そのものだが、いつしか薄汚れて何だかゴチャゴチャと小物に溢れてしまっていないだろうか。
走りに関しても同様だ。新車時の落ち着きのあるしなやかな走りから、ゴトゴト、ガタガタ、ブルブルといった振動や異音が走行中に伝わってくるようになってくる。
新車時の乗り味を維持できるのは5万~7万km程度まで
新車の引き締まった感触が好きな人もいるが、正確には新車から1万km走行した程度、部品同士のすり合わせなどフリクションが抜けてより動きがしなやかになった状態が、クルマとしてはベストな状態と感じる人も多い。
それでも、そこからは確実に劣化していく。昔は国産車なら3万kmを超えると、新車とは雲泥の違いのヒドいヤレ方をみせるクルマもあった(特にコンパクトカーの足回りや駆動系)。
しかし、最近のクルマは、低燃費と衝突安全性のための軽量化と、ボディの高剛性化、部品の工作精度向上によりフリクションロスが軽減しているため、摩耗による劣化が少ないから、5万km~7万kmまではいい感じの状態を維持できている個体も多いのが一般的になってきた。それでも10万km前後になれば、アチコチがヤレてくるのは避けられない。
毎日通勤で使っているだけのドライバーなら、少しずつ劣化していく車体の状態には気付かないだろう。
しかし10万kmも走行すれば、ダンパーは抜け、ブッシュなどのゴム類も劣化が相当進んでいるハズだ。このあたりをリフレッシュしてやると、かなり走りがシャキッとスムーズになり、新車の乗り味にかなり近づくハズだ。