速さを得た3代目と歴代初のタイプR設定
5代目シビックベースの3代目モデルもキープコンセプトで、1993年5月に3ドアクーペが登場し、この年の7月に4ドアハードトップが若干遅れてフルモデルチェンジされた。
3代目インテグラはトップグレードとなるSi VTECのエンジンが1.8L・VTECとなった。
2代目は同じ1.6L・VTECを積むシビックよりサーキットのラップタイムなどの速さは見劣りしたのに対し、このエンジンは可変吸気システムも持ち、トルクフルで180馬力(MT車)だったこともあり、3代目インテグラは車格相応の速さを得た。それでいて価格はSi VTECの3ドアクーペのオートエアコン付きで200万円と、やはりリーズナブルだった。
しかし、3代目インテグラは丸目四灯ヘッドライトとなったフロントマスクのクセが強かったせいか、初代と2代目モデルほどは売れなかった。
その流れが変わったのが1995年のマイナーチェンジであのタイプRが加わってからで、ここからインテグラがタイプRメインとなったのは言うまでもない。
さらにタイプRは価格も初期モデルのエアコン付で約240万円と内容を考えたら激安で、その意味でもインテグラらしかった。
筆者はよく使われる「ホンダらしい」という抽象的な言葉を、「こんなものがあるか! こういうのが欲しかったんだ! という商品を、300万円程度までの庶民が買える価格で提供すること」と思っているのだが、インテグラタイプRはまさしくそういったクルマで、実にホンダらしいクルマと感じている。
なお、筆者は20代最後に15年落ちで3代目インテグラのSi VTEC(3ドアクーペ)に乗っていた時期があるが、このころタイプR以外の3代目インテグラは不人気車だったため安かったこともあり、満足して乗っていた。
タイプR中心でも安かった4代目
現状では最後のインテグラとなる4代目モデルは7代目シビックベースで、プレリュードと統合されたこともあり3ドアクーペのみで、このモデルから2Lエンジンを積み、完全にタイプR中心となった。
このモデルはマニアからはボディサイズが大きくなったことや重量増、フロントサスペンションが構造的に手を加えにくい点などに批判もあったが、2L化などにより性能、速さは確実に向上した。
それでいて価格はライトなクーペとなるiSが174万円(MT)、タイプRも性能向上の割に値上がりせず259万円(初期モデル)と、今になると「こんなに安かったのか」と感じるものだった。
しかし、インテグラはクーペの需要激減などもありこのモデルで最後となり、やむを得なかったにせよ、今になると絶版が惜しまれる。
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歴代リーズナブルだったインテグラを振り返ると、かつてのプレリュードやアコードインスパイアなどが該当する「庶民が買える、魅力あるカッコいいクルマ」という意味でのホンダらしさを持つモデルは、現在ヴェゼルくらいしかないということに気付く。
年内でオデッセイ、レジェンド、クラリティを絶版にするホンダが、これを期に日本販売車のラインナップを再構築するのであれば、価格の見直しに加え、インテグラのようなちょっと肩の力の抜けたモデルの投入も考えてほしいところだ。
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