新型VWゴルフヴァリアントはカローラツーリングより上か?

■ハッチバックからの派生ワゴンとしてカローラツーリングとイメージが被る?

 で、そんなリアゲートの強まった傾斜や全体のフォルムを最初に見た際、筆者は反射的にカローラツーリングを連想した次第。まさかゴルフヴァリアントのデザインがカローラツーリングに“寄せた”訳ではないだろうが、何となく似ていると思えた。

日本の代表的なCセグワゴンのカローラツーリング。日本仕様は小型車枠の取り回しを考慮した日本専用のナロータイプであり、居住性や積載性で海外のライバルに対して叶わない部分がある
日本の代表的なCセグワゴンのカローラツーリング。日本仕様は小型車枠の取り回しを考慮した日本専用のナロータイプであり、居住性や積載性で海外のライバルに対して叶わない部分がある

 本来であればカローラツーリングの欧州仕様(日本仕様よりホイールベースが60mm長い)と較べるべきだろうが、日本のカローラツーリングの手持ちのデータで較べると、ラゲッジスペース(とくに床面のサイズ)は幅、奥行きともゴルフヴァリアントのほうが50〜100cm程度大きく、この点では実用車の鑑(ゴルフヴァリアント)の面目躍如といったところ。

後席使用状態でも611L、後席を倒せば1642Lと広大なラゲッジスペースはカローラツーリングを上回る。オプションながらイージーオープン機能付きのパワーテールゲートも用意
後席使用状態でも611L、後席を倒せば1642Lと広大なラゲッジスペースはカローラツーリングを上回る。オプションながらイージーオープン機能付きのパワーテールゲートも用意

 また室内の快適性では、ゴルフヴァリアントが新型ではホイールベースを35mm伸ばしてきたこともあり、足元、頭上、肩口など着座姿勢でのゆとりを実感する。カローラツーリングはシートの作りのよさなど認められるも、ファミリーカーとしての居心地のよさ、快適性と考えると、スッキリ、サッパリとしたゴルフヴァリアントがいい。

 ただし乗り心地の質ということでは、カローラツーリングの最新モデルはなかなかの実力をもつ。スムースなフラットライドが実現されているし、ドライバーにとっても、走らせている時のクルマの挙動、応答が自然で安心感があるところがいい。

■国産ワゴンの代表格、スバルレヴォーグとも比較してみる

 ではもう1台、国産同クラスの代表格であるスバルレヴォーグとゴルフヴァリアントを比較した場合はどうか?

 まず言えるのは、意外にもレヴォーグはゴルフヴァリアントに対して実用性が遜色ないということ。手持ちの取材データを改めて照合してみると、ラゲッジスペースは幅方向で何とゴルフヴァリアントを100mmほど上回り、後席使用時の奥行きもほぼ同等、なのである。

レヴォーグは日本専用車として誕生したものの、妥協のない性能や実用性にはスバルの熱い思いと伝統を感じる。ただ環境性能だけは現状如何ともしがたい状況だ
レヴォーグは日本専用車として誕生したものの、妥協のない性能や実用性にはスバルの熱い思いと伝統を感じる。ただ環境性能だけは現状如何ともしがたい状況だ

 改めて寸法を見てみると、ホイールベースは奇しくも同じ2670mmであるほか、レヴォーグはゴルフヴァリアントに対して全長(+115mm)、全幅(+5mm)、全高(+15mm)と意外や大きいのが実態だ。

 「人は見かけや身なりだけで判断してはいけません」とはよく聞かされてきた先人の教えのひとつだけれど、迂闊にも筆者も、これまでレヴォーグのほうがキュッと引き締まったボディサイズのイメージを抱いていた。だからラゲッジスペースのサイズも大きいというわけだ。

 実用前提ならフォレスターやアウトバックを……そんな論調のレポートはこれからは改めなければ……である。

 一方でイメージどおりということでは、こと“走り”という点ではレヴォーグだろう。何といってもこだわりのAWD技術と新世代の水平対向の4気筒1.8Lターボによる爽快な走りは、ワゴンという括りを外しても一目置きたいポテンシャルをもっている。

 またSTI Sportに採用の“ドライブモードセレクト”だが、開発責任者の五島さんの説明では「先代ではあまり使われなかったが、もっと使われるようにモードごとの特性をわかりやすく見直した」とのことで、広くファミリーユースも視野に入れた設定になっている。

 安全支援システムのアイサイトの実力、有効性は言うに及ばず、独自のアプローチで仕立てられているところが、同じセグメント、カテゴリーのゴルフヴァリアントとの違いだ。

次ページは : ■気になる価格はベースのゴルフに対し、プラス14万円となる

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