東京2020オリンピック・パラリンピックでも話題。トヨタが選手村で走らせた「eパレット」は、どうやって自動運転で走る?
クルマの明日を担う、新しい乗り物に込められた最新技術と仕組み、そしてパラリンピック期間中に起きた事故から見えた「クルマと歩行者の未来」とは?
文/渡辺陽一郎、写真/奥隅圭之、TOYOTA
【画像ギャラリー】本文未収録写真あり!! トヨタの自動運転EV eパレットを写真で見る
■東京2020での事故は「自動運転」が原因ではない?
現在の自動車技術として、環境性能の向上や電動化と同様、大切な課題になっているのが自動運転だ。各種の実証実験が行われているが、東京2020オリンピック・パラリンピックでは、競技大会選手村でトヨタのeパレットが運行された。このeパレットが2021年8月26日に、歩行者と接触する事案が発生した。
事案の概要は、視覚障害のある歩行者が交差点を渡ろうとしたところ、交差点を通過中のeパレットと接触したものだ。
この時にeパレットは、交差点へ右折しながら進入しており、人を検知して停止した。その後、オペレーターが安全を確認して再び発進したが、交差点周辺の状況に基づいて、改めて手動による減速を開始している。
この時に道路を横断してきた歩行者をセンサーが検知して自動ブレーキが作動し、オペレーターも緊急ブレーキを作動させたが、車両が完全に停止する前に歩行者と接触したという。交差点には誘導員もいた。
自動運転車は、運行をすべて車両に任せているから、事故を発生させてはならない。しかしこの事例では、オペレーターも関与したので、状況が分かりにくい。
また、eパレットが交差点に右折しながら進入して、人を検知して停止したのに、その後はオペレーターによって再発進したり手動で減速している。この点も疑問だ。
交差点内の人を検知して停止するのは特殊な状況ではなく、自動運転が想定する制御範囲に入る。通常であれば、人を検知して停止した後、自動的に再発進してその後も通常の走行を続けただろう。道路を横断してきた歩行者にも、減速するなど対応できたはずだ。
それなのになぜ、オペレーターによって再発進したり、手動で減速したのか。現状では分かりにくい点が多い。
そこで改めて、eパレットについて考えたい。
コメント
コメントの使い方