FCEVに水素を補給する水素ステーションってどんなところ?

FCEVに水素を補給する水素ステーションってどんなところ?

 全国で少しづつ増えている水素ステーション。都内でも芝公園や有明などが有名だ。MIRAIなど水素自動車はもちろんのこと、水素バスなども給水素を行っている。

 しかし、水素充填車両がなければなかなか訪れる機会のないのが水素ステーション。今後の水素社会にそなえて、どんな場所なのかをご紹介しよう!

文/藤田竜太、写真/ベストカー編集部、Toyota、Panasonic、JERA

【画像ギャラリー】各地に広がりつつある水素ステーションと世界初の量産水素燃料電池車 トヨタ MIRAI


■水素ステーションは都市圏を中心に続々増加中

品川区にある東京大井水素ステーション。水素バスも充填のために立ち寄っている
品川区にある東京大井水素ステーション。水素バスも充填のために立ち寄っている

 カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の達成に向けて、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle=燃料電池電気自動車)にも注目が集まっているが、その肝心の燃料、水素を補給する水素ステーションの現状についてみていこう。

 まず全国の水素ステーションの数から。2021年8月現在、4大都市圏を中心に全国154箇所で営業中。地域別では、首都圏:58箇所、中京圏:44箇所、関西圏:18箇所、九州圏:14箇所、その他:20箇所となっている。

 これらの水素ステーションには、街中のガソリンスタンドと同様の「定置式」とトレーラーで移動できる「移動式」の2タイプがある。

 さらに「定置式」は、都市ガス・LPガス等の燃料を使って、ステーション内で水素を製造する「オンサイト方式」と、製油所や化学工場等で製造された水素をステーションに運んでくる「オフサイト方式」に分かれている。

 一方、「移動式」は大型のトレーラーに水素供給設備を積んで、移動が可能な方式なので、複数の場所で運営できるのがメリット。FCEVが未だ普及の過渡期である現状では、かなり現実的、実用的な運用ができる方式だ。

 また「定置式」でも「移動式」でも、水素充填用式について違いはないので安心を!?

 ただ、現状では高速道路のSA、PAなどには一箇所も水素ステーションはない……。

■水素ステーションの様々なギモンを解決!

●充填方法と所要時間

港区にあるイワタニ水素ステーション芝公園。午前9時から午後9時までの営業となっている
港区にあるイワタニ水素ステーション芝公園。午前9時から午後9時までの営業となっている

 水素ステーションで、セルフ方式のところはないので、専属のスタッフが充填することになっている。イメージとしては、フルサービスのガソリンスタンドと変わらないと思えばいい。ちなみに、充填時間は、トヨタのMIRAIで、満タンまで約3分(使用可能水素量は、5.6kg)。

 航続距離の目安は、Gグレードで約850km、Zグレードで約750kmといったところだ。

 営業時間は、ステーションによっても違うが、「TOYOTA MIRAI ショールーム」を併設している、「イワタニ水素ステーション芝公園」(東京都港区)でも、月~日曜日:9:00~21:00。

 移動式の「つくば吾妻水素ステーション」(茨城県つくば市)などは、水曜日、金曜日:12:00~14:00と限定的。

 普通のガソリンスタンドに比べ、営業時間が短いので、水素ステーションごとの営業時間を把握しておくことが重要。まだまだ利用台数が少なく、しかも有人による充填ということを考えると、当面は限られた営業時間となるだろう。

●水素ステーションを運営する資格

東京大井水素ステーションでの水素充填の様子。高圧ガス製造保安責任者の資格を持った専属のスタッフが充填してくれる
東京大井水素ステーションでの水素充填の様子。高圧ガス製造保安責任者の資格を持った専属のスタッフが充填してくれる

 水素ステーションの運営には、有資格者(高圧ガス保安監督者)の選任が義務付けられている。高圧ガス保安監督者は、国家試験である高圧ガス製造保安責任者試験(甲種機械/化学、乙種機械/化学、丙種化学のいずれか)の合格が要件。

 余談だが、ガソリンスタンドの運営には、「危険物乙4」を持った人が必要で、タンククローリーの運転手などもこうした資格が必要。いずれにせよ、水素ステーションの営業時間中は、高圧ガス製造保安責任者の資格を有したスタッフが常駐していて、その人が充填してくれるのが基本。

●水素ステーションの建設費

トヨタ、日産、ホンダの3社が水素ステーションを運営する事業者に運営費を支援すると発表。写真のトヨタ MIRAIのような燃料電池車の普及拡大には、まずは水素ステーションの建設が急務だ
トヨタ、日産、ホンダの3社が水素ステーションを運営する事業者に運営費を支援すると発表。写真のトヨタ MIRAIのような燃料電池車の普及拡大には、まずは水素ステーションの建設が急務だ

 水素ステーション普及のための最大の壁は、その建設費。水素ステーションの建設費用は、4~6億円もかかるといわれている。一般のガソリンスタンドの建設費が7~8千万円ほどなので、桁が違う!

 水素ステーションは、ガソリンスタンドと違って、700気圧(約70MPa)以上の高圧ガスを扱うので、どうしても高額な設備が必要。水素圧縮機だけで約6000万円、蓄圧器も同じく6000万円ぐらいはかかる。

 ただ、国や都道府県から「水素ステーション整備費補助金」なども出る仕組みで、最大で一箇所につき3億9000万円の補助金が出る。

 また、2015年には、トヨタ自動車と日産自動車、ホンダの3社が、燃料電池車の普及拡大に向けて、水素ステーションを運営するインフラ事業者に運営費を支援することを発表。1基当たりで上限年間1100万円、支援総額は50億~60億円、期間限定の支援といわれている。

 またFCEVは、寒い地域でも問題なく走る事ができ、北海道・東北地区でも7件の水素ステーションが営業中だ。

【画像ギャラリー】各地に広がりつつある水素ステーションと世界初の量産水素燃料電池車 トヨタ MIRAI

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