■「ユーザーが求めるクルマ」を、圧倒的な企画力と実行力とスピード感で
スズキが愛される理由、それは、業界をリードするような技術をたくさん取り入れた最先端をいくクルマをつくる、というよりも、時代の流れはキャッチしつつ、「ユーザーが求めるクルマ」を、圧倒的な企画力と実行力、そしてスピード感でつくっていることにあるのではないだろうか。
例えば、スイフトスポーツの場合は、純粋に「操る楽しさ」を求めたクルマつくりがされている。
速いタイムや、加速度の高さを提供することよりも、決してハイテクではないけれど、クルマを期待通りに操ることができ、いつも走っている道なのに、なぜか楽しく感じることができる、そういった感覚を目指しているという。
絶対的なエンジンパワーを上げ、それに見合った高剛性サスペンションや強靭な車体で武装し、ほぼレーシングカーのようなマシンに仕上げるよりも、適度なエンジンパワーに見合ったコンパクトなボディ構造と、シンプルで軽量なサスペンションを使う。
いま国産メーカーでこのような割り切ったクルマづくりをしているメーカーが他にあるだろうか。
ハスラーのヒットは、「マーケティングの勝利」であろう。
豊富なボディカラーや可愛らしいデザインもさることながら、「クルマに遊び心が欲しいけど、ジムニーではハードすぎる」という、オフロード風味が欲しいユーザーの需要をキャッチし、いち早く実現させたことが、この爆発人気につながったと考えられる。
ほかのメーカーももちろんこのような需要はキャッチしていたであろうが、このスピード感と実行力は、スズキならではだ。
■インドでは圧倒的な人気!!
すこし話がそれるが、インドでは、スズキの新車販売シェアが50%を超えている。インドといえば、新車販売台数において、中国、アメリカ、日本、ドイツについで5位にランクイン(2019年)する、世界的にも大きな市場。
スズキのインド子会社のマルチスズキの販売するクルマは、そんなインドの乗用車市場で、およそ277万台(2019年度)の販売台数のうち51%を占めている。ちなみに、トヨタのインドにおけるシェアは7-8%程度(2019年)だ。
マルチスズキの出すクルマは、価格と性能のバランス感覚に優れ、そしてなにより、「ジャパンブランド」だという点も、インド人の顧客の心を掴んでいるようだ。
また、インドでは全長4メートル以下の車は税金を安く抑えられるため、主要なモデルの多くがその大きさに収まるように製造されてきた。
「コンパクトカーが得意」「急成長中のインドで支持されるコスパの良さ」「ジャパンブランド」これらが支持され、スズキはインドで、シェア50%という圧倒的な強さを手に入れたのだろう。
■まとめ
もちろん、スズキのクルマにも、気になる点はたくさんある。しかし、「いいクルマは高い」を覆すクルマづくりは、他メーカーがマネ出来ない、スズキだけの特徴だ。
このコロナ禍で、日本市場のみならず海外市場でも新車が売れず、スズキも大きな打撃を受けてしまっているようだ。すべてが落ち着いて、また以前のように、モーターショーなどで新型車を発表し、我々を驚かせてくれることを祈っている。
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