10年ほど前から火がつきはじめたSUV&クロスオーバーブームは今も続いているが、最近登場したノートオーテッククロスオーバーをはじめ、SUV&クロスオーバーでありながら実は最低地上高が乗用車とそれほど変わらないモデルも少なくない。
そこで、本稿では最低地上高が低いSUV&クロスオーバーが意外に多い理由を考察するろともに、最低地上高が低いSUV&クロスオーバー ワースト5をピックアップしてみた。
文/永田恵一、写真/平野学、NISSAN、TOYOTA、HONDA、MAZDA
■なぜ最低地上高が低いSUV&クロスオーバーが増えている?
トヨタ C-HRやマツダ CX-3などは、そもそも「5ドアハッチバックの乗用車に限りなく近いクロスオーバー」というコンセプトだ。そういったコンセプトであれば、自社内に最低地上高が高いオーソドックスなSUV&クロスオーバーが存在することもあり、高い最低地上高は必要ないという事情も納得できる。
また、ベース車の最低地上高を上げたモデルを作ることは、なかなか大変だ。そのためサスペンションで比較的手間が少なく済む15~20mm、タイヤの外形アップで10mmの合計25~30mm程度最低地上高を上げたSUV&クロスオーバーがそれなりに多いこともよくわかる。
さらに、最低地上高の高さは悪路走破性、乗降性の向上、アイポイントの高さ、スタイルを含めたSUV&クロスオーバーらしい雰囲気といったメリットがある反面、ハンドリングの悪化(乗り心地はストロークが伸びることで良くなることもある)、空気抵抗の増加による燃費の悪化といったデメリットも少なくない。
これらを総合すると使い方次第では最低地上高を軽く上げたSUV&クロスオーバーの存在意義も充分ある。
これから挙げるモデルには最低地上高がベース車と同じというSUV&クロスオーバーもあり、そういったモデルも意外に売れていることを見ると、「内外装にクロスオーバー的な雰囲気があればいい」というユーザーもそれなりにいるということなのだろう。
以上の要素をまとめると、好みや評価はいろいろあるにせよ、最低地上高が低いSUV&クロスオーバーが少なくないことも、選択肢が増えるという意味で歓迎できると言えるのではないだろうか。
■最低地上高が低いSUV&クロスオーバー ワースト5は?
●5位:eKスペースクロス/4WD:150mm、FF:155mm
eKスペースクロスは、ベースとなるeKスペースに対し、エクステリアはフロントマスクをアグレッシブなものに、インテリアはシート表皮や内装色がラグジュアリーな方向となっている程度の違いだ。
最低地上高もeKスペースと変わらないが、ぬかるみなどからの脱出の際にトラクションを高める「グリップコントロール」がeKスペースも含め装備されるのはありがたい。
●5位:スペーシアギア/150mm
スペーシアギアも、eKスペースクロスと同様、スペーシアとは最低地上高を含め内外装の違いしかないクロスオーバーである。
しかし、丸形ヘッドライトとなる点やボディカラーをはじめとしたエクステリア、インテリアも掃除しやすい撥水シートや樹脂フロアとなるラゲッジスペースを持ち、ギア感がそれなりにあることに加え、価格はスペーシアカスタムより10万円程度安いため、好調に売れているのも納得できる。
●4位:ノートオーテッククロスオーバー/FF:145mm、4WD:150mm
登場したばかりのノートオーテッククロスオーバーは、ノートにおいてプレミアムな存在となるオーテックをベースに最低地上高を25mm上げ、エクステリアではホイールアーチガーニッシュ、サイドシルプロテクター、ルーフモールなどの装着(ボディサイズは5ナンバー幅のまま)といった手法でクロスオーバー化したモデルだ。
また、最低地上高を高めたことに対応し、サスペンションだけでなくパワステも専用チューニングとなっており、最低地上高がそれほど高くない割にはクロスオーバーらしく立派に見える点も面白い。
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