ホンダというメーカーは家電のソニーのように、ときおり画期的なアイデアやひらめきを持つモデルが大ヒットすることがある半面で、いいクルマ、面白いクルマで、モノはいいのに売れないということも珍しくない不思議なメーカーである。ここではそんなホンダのクルマたちをタイプ別に振り返ってみた。
文/永田恵一、写真/HONDA
【画像ギャラリー】本文で載せきれなかったモデルも掲載 モノはいいのに売れないホンダ車を写真で見る(21枚)画像ギャラリーセダンはまさに迷走の歴史だがキラリと光るモデルも……
まず、ホンダから「モノはいいのに売れない」というクルマが登場し始めた時期を考えてみると、昭和の時代までホンダにいわゆる「いいクルマ」というのはあまりなかったこともあり、平成に入ってからである。
そのトップバッターは1989年登場の4代目アコード&初代アスコットだったように思う。4代目アコード&初代アスコットは、この世代からマークII三兄弟やローレルに相当し、FFミッドシップという5気筒エンジンを縦に置くアコードインスパイア&ビガーという趣味性の高いシリーズが加わったこともあり、ごくオーソドックスなミドル4ドアセダンとなった。
4代目アコード&初代アスコットはごくオーソドックスながら、それまでのホンダ車ではあまりなかった4ドアセダンと呼ぶのに相応の全高を確保した点や静粛性の高さなど、4ドアセダンに求められる要素を煮詰めたモデルで、非常に完成度が高かった。
しかし、4代目アコード&初代アスコットはごくオーソドックスな点が当時のホンダファンには受け入れられなかったことや、バブル景気という時代背景によりアコードインスパイア&ビガーに注目が集まった点が原因だったのか、あまり売れなかった。このモデル以来アコードは、アメリカ製だったこともあるステーションワゴンとユーロRなどのスポーツモデルモデル以外、歴代「いいクルマなのに地味で今一つパッとしない」という状況が続いている。
また、セダン系では1998年登場の3代目モデルでFFミッドシップをやめオーソドックスなエンジン横置きのFF車となったインスパイアや、タイプR以外目立たなかった2005年登場の8代目シビックも4代目アコード&初代アスコットも近い運命となってしまった。
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