■トヨタ アベンシス
アベンシスは初代から英国にあるバーナストン工場で製造される、いわゆる逆輸入販売車。印象的だったのは2003~2009年まで販売された2世代目。欧州ではディーゼルモデルも販売されていたが日本では直列4気筒の2.4Lと2.0Lガソリンエンジンが販売された。
セダンとステーションワゴンがラインアップされていたが、個人的にステーションワゴンがお気に入りだった。ラゲッジスペースも充分にあり室内ユーティリティも不足ない。欧州育ちゆえ高速直進安定性が高く、ハンドリング面でも充分に楽しめるものだった。
特に2.4Lのエンジンは低速トルクから高速域まで力があり、5速ATがドッキングされるので走りも燃費もよかった。
しかし輸入車ということもあり、装備的には素晴らしいインパネ類ではあったが、操作しづらい部分もあり、使い勝手はイマイチ。実力はありながらも、やはり輸入車という部分での足かせがあったのかもしれない。予想以上に売れなかったモデルだ。
■スズキ スイフトRS
現行スイフト RSは、先代で特別仕様車だったが密かに人気があったことからカタログモデルになった。2017年にデビューした現行スイフトは、より一層のボディ剛性が進化。これにより走りのテイストがアップグレードしている。
ただしRSグレードは、ハイブリッドと非ハイブリッドとの2グレード。ここで注目なのは非ハイブリッドの1.2Lエンジンを搭載した5速MTモデル。MTゆえに91ps/118Nmのアンダーパワーのエンジンをしっかりと使い切れ、しかも車重が870kgとハイブリッド仕様よりも40kgも軽量。
軽く1.0tを切るレベルでの40kg差は走りへの影響は大きく、コーナリングでのヒラリヒラリ感は快感のひと言。いずれにしても900kgを切る軽量さゆえに、非力なエンジンも逆に高回転域まで使いきれパワー&シャシバランスに優れている。
ハンドリングの方向性は、欧州的な良く曲がるもので、現行モデルになって乗り心地も進化。サスペンションのストローク感が先代よりも良くなっている。それゆえ通勤にも使えるほど。MTゆえにCVTモデルのように停止までは対応しないもののACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が標準装備されている。
また、軽量でシンプルな5速MTゆえにハイブリッドモデル(CVT)よりも実燃費では良い。価格はハイブリッドモデルに比べて約10万円安い。敢えていえば、ハイブリッド&CVTよりシンプルな構造なのにこの程度の価格差がデメリット。5速MTだから販売台数が見込めないがゆえの価格設定だろう。
■ホンダ シビックタイプR ユーロ
英国工場で生産されるFN2型タイプRユーロは、もともと日本国内には2010台の限定販売(2009年)。それゆえにあまり売れなかったと表現するのは可哀そう。台数が少なかったからか、室内にはシリアルナンバープレートが貼られていた。
また、購入者には故ポール・フレール氏やジェンソン・バトン選手のニュルアタックが収められたプレミアムブックが進呈された。
その乗り味だが、まず走り出しから感じたことは乗り心地が良い。しかも、この手のクルマにしては室内が静かである。これは和製タイプR(FD2型)がグリップ重視のために装着していたRE070に対して若干軟派なタイヤ(RE050A)を採用したことも一因。
さらにエンジンにはタイプR系では初めて2次バランサーを装着したことでノイズと振動が激減。また、ドアのロアにリップシールを加えた3重シール構造とするなど、NV(ノイズとバイブレーション)対策を施してあったのだ。
タイプRユーロのコンセプトはプレミアムピュアスポーツ。つまり、欧州ではただホットな性能だけでは生き残れないわけで、ライバルは当時のBMW 1シリーズやゴルフGTIといった面々。走りだけではないラグジュアリーな乗り味も重要だったのだ。
最大出力は201psで和製と比較すると24ps低いが、VTECのハイカムへ切り換わるポイントが5400rpmへと下げられ、結果トルクバンドが広くなったこともあり、下からとてもスムーズに加速する。
悪く言えばタイプRにしてはおとなしい。しかし、6速MTの1、2、3速をよりワインディング重視でエンジン回転が上がる方向に変更しているから、箱根などのワインディングではしっかりとその性能を使いきれる。
逆に4、5、6速は高速走行用に回転数が下がる方向にセッティングされ燃費にも配慮されていた。とてもバランスのとれたタイプRだった。
【画像ギャラリー】本文未収録写真あり!! 本格的ヨーロピアンを目指した記憶に残る日本車たち(12枚)画像ギャラリー
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