■査定がグッと下がる基準となる走行距離とは?
取材した方によって多少の差異はあるが「1、3、5、7、10万km」がそれぞれのボーダーラインといえそうだ。
乗り替えや売却を考える際の目安となるだろう。もっとも「はじめから乗り潰す」つもりで購入したのであれば、この数値を気にする必要はまったくといっていいほどない。
その反面、残クレ(残価設定ローン)を利用した場合は特に気に留めた方がいい数字だ。
親切(商売熱心、ともいえる)なセールスであれば「5万km超えると下取り額がガクンと落ちるので、そろそろ乗り替えた方がいいですよ」と代替プランを持ちかけてくることもある。
どれほどコンディションが良く、人気グレードであったとしても、過走行ではディーラー認定中古車として売りにくいという実情もある。そういったクルマはどこへ流れていくのかというと、日本各地で開催されているオークション会場だ。
ディーラー側からすれば、乗り替えによる利益に加えて、下取り車を自社の認定中古車として売りに出し、売却できればさらに上乗せできるのだ。
なぜなら、セールスマンには、メーカーによっては新車の契約だけでなく、保険や認定中古車、新規ユーザーの紹介など、あらゆる項目がノルマの条件となっているケースもある。
それだけに、自分たちの目の届く範囲に1人でも多くの管理ユーザーを抱え込みたいという本音があるだろう。
■いわゆる「旧車」や「絶版車」にも過走行の定義は当てはまるのか?
すでに察しがついているかもしれないが、一般的に「旧車」や「絶版車」に該当するクルマには過走行の定義はあてはまらないと考えていい。走行距離よりも程度が重視される世界だ。
もっとも評価される、つまり価値があるとみなされるのは「フルオリジナル(またはそれに近い状態)を維持し、ワンオーナー車、整備記録がきちんと残っている」個体だ。
仮に30万km走破していたとしても、車検や交換履歴などの整備記録が残っていれば「距離を走っていても、しっかりとメンテナンスされてきたクルマ」という評価になる。
ただ、これだけの条件がそろった程度極上の「旧車」または「絶版車」ともなれば、走りを楽しむクルマ・・・というより、最近ではコレクターアイテムの領域に達した感がある。
つまり「資産価値があるので、おいそれと乗れないなってしまったクルマ」ということだ。
その一方で、投機目的で購入する人物の目にも留まるようになる。それはつまり、クルマ好きのコレクションというよりも金儲けの対象にされてしまうことを意味する。
手に入れたクルマをどう煮て焼いて食おうとオーナーの自由だが、「クルマは走らせてナンボ」であることはいまも昔も不変だ。
仮に30年間(つまり平成初期だ)、日常の足として使っていれば塗装はやれるし、ステアリングやシートも使用感が目立ってくる。
しかし、それこそが「クルマ本来の正しい扱い方」ではないだろうか。
この「経年劣化」が、結果的としてきちんと評価されている(こともある)のだから、世の中捨てたものではないのかもしれない。
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