シエナの日本導入には障壁が多い
筆者は、今回の中国におけるトヨタMPVの取り扱い方式が他国に広がる可能性は少ないと考える。日本ではアルファード・ヴェルファイア、北米ではシエナのみが販売されていて、東南アジアや韓国でも、どちらか片方だけの販売となっているのが現状であり、この体制は変わらない。
中国では圧倒的な販売台数の多さと、底堅いMPV需要があるからこそ、アルヴェルとシエナの併売に踏み切れた。中国市場なら、それぞれのクルマが充分に利益を生み出すことは、想像に難くない。
日本国内でも、今のMPV需要ではシエナの導入は難しいだろう。さらに日本の法規がシエナを歓迎してはいないのだ。
ご存知の方もいると思うが、2021年モデルからシエナは並行輸入ができなくなった。北米仕様のハイブリッド化されたシエナは、日本で登録できないクルマになってしまったのだ。
シエナを日本に導入するためには、まず法規対応しなければならない。販売見通しが薄いシエナに対して、大きなコストをかけて適合をとるトヨタのメリットは非常に薄い。日本国内の一部ではシエナ待望論もあるが、シエナが今、日本で発売される可能性は、ほとんどゼロである。
中国市場で攻勢を強めるトヨタMPV。シエナはこの勢いに続くことができるのだろうか。上級路線から少し下がった、個人ユーザー向けのシエナが、中国のファミリー層にどう受け入れられるのか注目していきたい。
MPVの聖地となりつつある中国市場は、今後も活気づくことが予想される。各メーカーの有力MPVは、中国を視野に入れ開発が進められるだろう。最大の自動車マーケットである中国から目が離せない状況が続いていく。
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