軽快なFRスポーツカーに生まれ変わったS15
S14の反省点をふまえ、S15は再び5ナンバーサイズとなって登場。開発コンセプトは「見て、乗って、走って、エモーションを感じる軽快コンパクトなスポーティクーペ」。
デザインは近未来的というよりややコンサバティブではあるものの、低いボンネットにスラントノーズ、さりげなく個性を主張する2本のキャラクターライン、サイドからリアにかけて絞り込まれたような造形のリアセクションなど、5ナンバーサイズとは思えないような存在感、そして速さと美しさにこだわりを感じさせるディテールで登場。
搭載されるエンジンもSRが継承されたが、こちらも出力アップが図られ、NAの最高出力は121kW(165ps)、ターボは184kW(250ps)に引き上げられた(いずれもMTモデルの場合)。グレード呼称もNAが「スペックS」、ターボが「スペックR」に改められ、スペックRはメーターパネル中央にタコメーターを配置し、フロントピラーにブースト計を装備するという硬派なインテリアであった。
S15は、「デートカー」という言葉も使われなくなり、「スペシャルティカー」の役割も他に移ったタイミングで登場している。つまり、S15は「純粋に走りを楽しむ軽快なFRスポーツカー」という要素のみで存在感を示す必要があった。そして、サイズ、デザイン、メカニズムだけでシンプルにそこに応えたのが、S15だったといえる。
さらに、S15はパーツも豊富でカスタムする楽しみがある。現代の完成されたスポーツカーとは違い、自分好みに「育てる」楽しみのあるクルマだった。メカ好き、走り好きの若者にとってS15が最後の砦だったと言っても過言ではないだろう。
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排ガス規制をクリアできないという理由で残念ながら2002年に絶版となったシルビア。最終モデルのS15は、スポーツクーペファンの心をがっちり掴むスタイリングと高い走行性能が今でも高く評価されている。
また、現在は安全基準、環境性能などクルマに求められる基準や考え方が以前と異なるため、シルビアのようなクルマが再び登場するのはあまり期待できない。
つまり、シルビアの穴はシルビアでなければ埋められない。これが、中古車市場でS15が人気となっている理由だ。中古車価格が暴騰しているのには、海外の熱狂的なファンの需要も高く、海外への輸出がなされていることも影響している。
復活は期待できない、ということはわかっていても、それでも「ひょっとすると…」と、思ってしまう。それほどシルビアがクルマ好きに与えた影響は大きい。
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